閉鎖寸前の決断。コロナ渦でこそ実現する同業競合他社との共闘。職人工房を存続をかけて。

<はじめに・ご挨拶>

はじめまして。カンボジアのシェムリアップでものづくりを行うAndkow & Co.(shippos Co., Ltd.)代表の古白川 真(コシラカワ シン)と申します。


<プロジェクトの概要>

「カンボジアで職人の精鋭集団を作る」という目標を持ち、この数年地道に続けてきた職人育成。
順風満帆とは到底言えない問題だらけの日々の中でも着実に技術と力をつけて来ていた職人達でしたが、新型コロナウィルスで大打撃を受ける観光地にあり多くの取引先が休業、倒産。
国を跨いだヒト、コト、モノの断絶や値上がりも相まって、仕入れ、ネット販売、BtoBなど全ての取引においてダメージを受け、ほぼ全ての販路を失いました。

職人やプロダクトのレベルが上がっても、アウトプット先が消えていく。

地道に関係を積み上げてきた数々の取引先が櫛の歯が抜け落ちていくかのようにじわじわと消えていくのは今まで味わった事のない何とも言えない辛い感覚でした。

様々な手を尽くす中で販売先のターゲットをカンボジア国内にシフトし始めた頃、さらに追い討ちをかけるように国をあげての道路拡大工事、それに伴い毎日のように起こる停電、断水。

現在のシェムリアップの様子

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コロナ発生から1年以上の間、一切職人の解雇や給与カットだけはせず代表としてできうる限り自分の身を切りながら様々な新しい試みや試行錯誤を重ねなんとかここまでやってはきたものの、限界値はとうに超えついに倒産秒読みの段階まで来てしまいました。

もしここで何らかの形で固定費を捻出し一時的に延命できたとしても、根本的な意味で今までと同じ事を続けていては遅かれ早かれ潰れてしまう。

何かを変えなければいけない。

そこで、工房の存続をかけて2つの挑戦をする事にしました。
1つは日本を含めた海外進出、もう1つは同業競合他社との共闘です。

<なぜやるのか、何のためにやるのか>

生き残るためです。

一時的な延命ができたとしてこの先どうなるかは全くわかりません。
ただ今生き残らなければその先は確実にない。

やってどうなるかはわからないが、やらなきゃどうなるかはわかっている。

だから今生き残らなければいけない。
遅かれ早かれどのみち座して死を待つくらいであれば新しい挑戦をしたい。

そう思い、考えに考えた結果、今回のクラウドファンディングプロジェクトに挑戦することにしました。


国をあげての大工事このような状況下でも
営業する店舗には尊敬しかありません


コロナ以前/コロナ以降。もう元に戻ることはない。
この1年ではっきりとわかったことは、以前と同じ状態に戻ることはもうない、ということです。
特に観光業、旅行業に付随する仕事は絶対的な変化を求められています。

現状維持ではなく、挑戦
ただただ周りの状況変化や以前の状態回復を待つのではなく、このような状況下でもリスクを取って挑戦することで今見えない敵と戦っている同じような状況の人達にも「自分だって、私達だって」と奮起するきっかけを作ることができたら本望です。

<このプロジェクトで実現したいこと>

ゼロから作り培ってきた技術と雇用を守ること、何があっても工房を存続させること。
そして命が繋がっているその間にその先の未来につながる環境を作ることです。

・本格海外進出
ECなど窓口自体は今もありますが、現在会社と店舗はカンボジア国内のみ。
今回の挑戦では日本を含めたカンボジア国外への本格海外進出を目指します。
日本でも法人もしくは個人事業主として正式に登記し組織を立ち上げ、本格的に日本国内での販売を開始します。
主にDtoC領域での自社ブランドの強化とインターネット販売やPOP UP、委託販売などを含めた国内販売チャネルを増やし、職人達が製作したハンドメイド製品のアウトプット先を作ります。
そしてその先は現在声をかけて頂いているフランス、イギリス、アメリカを視野に入れています。

・同業競合他社との共闘
何かを変えなければいけない。そう感じたのは自分達だけではありませんでした。
同じ土地でものづくりをするいくつかの小さな会社とお互いリスクを背負って手を組む事に決めました。

そのうちの具体的なひとつとして、現地他社経営の彫金工房に弊社の職人達が学びに行き、他社彫金職人が私達の革工房に革細工を学びに来るという技術交換を開始します。
(その他縫製業など他業種とも話をしていますが、賛同してくれる所が増えれば拡大します)

また、今まで品質の関係でタイやベトナムなど近隣諸国にオーダーしていたラベルやパッケージ、刻印、機材関連などもできるだけカンボジア国内、その中でもできる限り仕事が減っている知人や近隣の業者へ仕事を振れるように段階的な切り替えをします。
この危機的状況を逆手にカンボジア製品全体の品質向上のモチベーションに繋げられるよう皆で一念発起したいと考えています。

正直な所、製造業分野において既に地位を確率している近隣諸国と比較して技術者や専門知識などのリソース不足で様々な面で遅れを取っている感は否めませんが、とはいえカンボジアという土地の中では稀有な種類の技術を持った組織同士、秘匿したりパイを奪い合うのではなく、お互い持つ専門的な知識や技術、リソースをできる限りシェアし外に向け未来に向け新しい価値を作る。
平時では絶対に実現しなかった競合同業種の会社同士で技術交換の環境を作るという新しい挑戦です。


停電の中ロウソクとスマホの光で作業をする職人

<その他のメリット>
他人に教えるというアウトプット前提で学ぶ(インプットする)事で職人本人の能力UPにも繋がり、今後の新人職人の育成、ひいてはカンボジアのものづくりにとってもとても大きな意味があります。
何よりこの間の職人の技術や仕事道具も錆びつかずに済みます。

また、各社がそれぞれ委託や外注に頼っていた部分を新しい技術習得によりその多くを自社で賄えるようにし、将来的にコロナのような大きな打撃の影響による共倒れの可能性を最小限にする「小さくも強い組織」を作る事ができるという大きな意味もあります。

自国生産のものが少なく様々なものを輸入に頼るカンボジアの中でとても意義のある大きな一歩だと考えています。

コロナのような社会的なショックはおそらくまた訪れます。
その時に同じような事にならないよう、今この瞬間の変革に対して働き方の仕組み自体を完全に変えていかなければいけない。

「収束したら以前の形に」という考えの組織は、先の見えない状況の中緩やかに死んでいくのだと思います。

また、過去の失敗として、作って間もない工房が地主や大家の都合で即強制退去を余儀なくされたり、取り壊さなければならなくなるなどのリスクが余りにも多かったため、今回のプロジェクトでは建物などのハード面ではなくソフト面に資源を割きます。

場所や建物を取られても残るものは道具、そして知識と技術。
身体に染み込んだ知識や技術は誰からも奪えない。

NOBODY CAN TAKE MEMORIES AWAY
「記憶は誰にも奪えない」は私たちの会社の合言葉でもあります。



<これまでの活動>

・レザークラフト
自社ブランドの運営と革職人の育成に力を入れてきました。

Andkow & Co.


プロダクトに関しては


このような思いとコンセプトでひとつづつ手縫いで手作りしています。


ゼロから手探りで始めたブランドでしたが、今では日本のテレビ番組でも紹介して頂いたり、あのアンジェリーナジョリーもフェイバレットとして挙げている世界的ハイブランド出身のデザイナーからも制作依頼の声をかけて頂けるまでに成長しました。(このプロジェクトは本年始動予定)

・弾丸薬莢真鍮
「兵器と銃器を風刺のアートに。人を傷つける銃器が、人を輝かせるジュエリーに」
銃の弾丸の空薬莢を溶かし、無力化した真鍮を素材として使用したジュエリーを手作りし「どんな過去やバックグラウンドがあっても人は変われる」というメッセージを伝えています。


こちらも様々な困難がありましたが、今では日本で活躍するいくつかのブランドから委託生産依頼や共同制作、コラボレーションのお誘いを頂けるまでに成長してきています。


また「銃器を什器に、武器を食器に。人を殺す武器を、人を食わせ、生かすものに」をコンセプトに同じく武器の象徴である弾丸を溶かした真鍮からフォークなどのカトラリーを手作りし、1本が売れる毎に地雷撤去団体へ1食分を寄付するFORKS FOR FOLKSというプロジェクトも小さいながら自分たちのできる範囲で行なってきました。


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<プロジェクト予定スケジュール>

2021年3月 プロジェクト終了後即日本進出用プロダクトのサンプル完成後製品版の製作を開始(現在プロトタイプ試作中)
パッケージ、タグ、ラベル、ロゴ刻印なども並行して製作開始(現在サンプル試作中)
2021年 4月 リターン製作開始
2021年 4〜5月 日本進出用プロダクト販売開始
2021年 9月下旬までに全てのリターンの発送完了

日本進出のプロダクト第一弾はCAMPFIREをプラットフォームとした予約販売型を検討しています。


<資金の使い道>

・CAMPFIRE手数料 : 9%(100%達成の場合4万500円)
・リターン原価 :10万円〜
(オンラインストア金券等があるため支援して頂くコースの数により変動)
・日本進出用プロダクト開発費一部 20万円
(サンプル製作、本製品、パッケージ、ラベル、金型、デザイン費用などのうちサンプル製作費として)
・設備補強費:約10万円
 機材、設備の中で補強が必要な最低限のもの

※その他機材輸入の際の国際送料や税金などが発生してくる可能性がありますが、今回は経費には含めておりません。

今回のプロジェクトで必要となる様々費用のうち一部をクラウドファンディングにてご協力頂きたいと考えております。


<リターンについて>
・slide key cover「Elmore」
Andkow & Co.日本進出前哨戦#00製品としてスライド式のキーカバー「Elmore(エルモア)」シリーズをリターン(お礼品)として設定致しました。

ブルーススライドギターの名手Elmore Jamesからインスパイアされたこちらの製品は、内側にはアンコと呼ばれる革の補強を施し、全箇所全て職人の手作業手縫いにて製作しています。
また、金具部分においても弾丸の空薬莢を溶かした真鍮から職人が手作りしたオリジナルのフックを使用しています。

レザーはエントリーモデルにクレイジーホース、その他受注生産にて世界三大レザーのブライドルレザー、最高級レザーのひとつドラーロ、プエブロをご用意しています。

写真は受注生産のみのイタリアンレザー、Dollaro

※色(ブラウン・ブルー・グリーン)をお選び頂き、備考欄にご記載くださいませ。

※現在コロナウイルスの影響で物流が止まるなど流動的な状況となっている為、発送に関しては物流が落ち着いたタイミングで発送とさせて頂きます。


・無形リターン

Andkow & Co.オンラインショップにてお好きなプロダクト全てにご使用して頂ける金券をご用意致しました。通常よりも大きくお得な金額となっております。
物流が落ち着けばカンボジア現地から日本への発送も通常通り行えると思いますので、プロジェクト終了後、チケット番号を発行し、お送りいたします。
有効期限は私たちが事業を閉鎖しない限り無期限となっています。
活動報告についても、プロジェクト終了後メール、またはメール記載のリンクにて送付させていただきます。


<最後に>
このコロナ渦の中、世界中の沢山の人が先の見えない不安を抱えています。
横を見ると誰もが息切れして倒れかけている。そんな状況で他人にお願いができるのか。
そんな事を何度も考えこのクラウドファンディングを行なう事自体、悩みに悩みました。

私達自身これからどうすれば活路を見出せるのかというポジティブな試行錯誤と、どうすれば一番他人に迷惑をかけず綺麗に終わることができるだろうかというネガティブな考えが毎朝目覚める度に感じる不安と共に交互に頭をよぎります。

これから世界全体がどうなっていくか、全くわかりません。
ですが生きていくということに変わりはなく、今だからこそリスクを取って前に進むことにしました。

いい加減諦めろと何度も自分自身に言い聞かせましたが、ほんの数年で信じられない成長をしてきた職人達の姿を見ているとどうしても諦めることができません。

これまでも沢山失敗をしてきましたが、その度ひとつずつ修正し、手探りながら少しずつでも確実に着実に、一歩ずつ進んできました。

彼らの成長には目を見張るものがあり、それこそが私たちの希望でもあります。
カンボジアの若い人材には、まだ誰も知らない凄い奴らが沢山います。
彼らのこの先をこの目でもっと見たいし、一緒に何かを掴み取りたい。
それが自分のモチベーションでもあります。


そしてまたいつかこの暗く長いトンネルを抜けて世界中を旅する事ができる時がきたら、その時はぜひカンボジアに、私達の工房に会いに来て頂けると嬉しいです。


かめはめ波を出して明かりを作る職人
どんなに厳しい状況でも笑いに変えポジティブに頭を切り替える思考は今まで関わってきた沢山のカンボジア人に学んだ事のひとつです。
悲観的にならずに、どうすればこの状況を打破できるか、プラスに変えられるかを考え、それに向かい挑戦していくつもりです。


緊急性が高いため、短期決戦型のプロジェクトとさせていただきました。
どうか私達の挑戦を応援していただけませんでしょうか。

シェアや拡散だけでも大きな力となります。

どうぞ、宜しくお願いいたします!


Andkow & Co.(shippos Co., Ltd.)代表 古白川 真

  • 2023/01/25 18:43

    苦節何年でしょうか。やっと、やっと、実店舗、EC共に再OPENすることができました。書きたい事は山ほどありますが、さしあたり再開のご報告をさせて下さい。こんなに時間がかかるとは思ってなかった。思えば数年前、大好きなシェムリアップで、学のない若い友人達が手に職を持てるよう寺子屋や職業訓練校のよう...

  • 2022/08/20 13:37

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2022/02/25 11:04

     少し久しぶりの活動報告になってしまい申し訳ありません。 今回日本は2ヶ月半ほど滞在し、日本進出の組織づくりの為の行政への各種届出や申請、日本政策金融公庫を含めた金融機関との面談、古物商免許やその他許認可取得などなど諸々の手続きを終え、先日カンボジアに帰国しました。 丸2年ぶりの一時帰国。日本...

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