▼皆様はじめまして

私は、“おおばひでとし”と申します。1964年沖縄県の中部にある、うるま市で生まれ、那覇市で育ちました。学生時代は吹奏楽にのめり込み、大人になってからは音楽講師として生活してきました。異変がおこったのは2006年、41歳の秋でした。県外で仕事中に急性心筋梗塞に襲われ、心肺停止状態になりました。医師の賢明な処置で蘇生はしたものの、低酸素脳症による「高次脳機能障害」を患うことになりました。その後、パニック障害も発症。一般就労が出来ず、行政の支援を受けながら、ボランティア演奏・指導やPCによる音楽制作を行っています。

▼高次脳機能障害の主な症状

この障害は頭部の外的損傷や低酸素脳症などをきっかけに発症します。複数の障害が混在しており、複雑に組み合わさっているため、症状は千差万別、障がい者の数だけパターンが存在します。外見からは分からないため「見えない障害」とも言われています。

記憶障害」昔の記憶を思い出せない。今日のことさえ明日には忘れてしまいます。

遂行機能障害」物事の段取りが上手く出来ない。人に言われないと行動できない。簡単な計算が出来ない。

注意障害」一つの事に長時間集中することが出来ない。

社会的行動障害」場の空気を読めない。思ったことをすぐ口にしてしまう。周囲の人に対して気配りが出来ない。

感情の鈍麻(欠落)」喜怒哀楽の哀・楽がない。孤独を感じない。愛情がわからない。泣けない。

▼私の日常と想い

目が覚めて私の「短い一生」が始まります。しかし、最初に確かめるのは、目が覚めたところが「あの世かこの世か」です。身近にあるモノを取ってみます(幽霊なら取れないと思うので)。取れたことに安心したあとは、実際「どこにいるのか」です。以前住んでいた県外でも、今いる沖縄でも部屋のレイアウトは全く一緒です(高次脳機能障がい者は変化を嫌いワンパターンを好みます)。今ならとても寒くなければ沖縄であることに容易に気づきます。そして時計で日時と時間を確認します(カレンダーを見ても何日か分からない)また、時刻合わせや電池交換などの作業が私には難しいので、部屋にある時計は全てソーラー式の電波時計です。次にボードに貼られた拡大コピーされた免許証で「自分の名前」「生年月日」「現住所」を確認(いつも自分の年齢に驚かされています)。同様に貼られた名前入りの家族やよく会う友人・知人の写真リストを見、手帳に書かれた予定を確認して、やっと動き出すことが出来ます。

手帳は必携。前日に行った作業の細かな内容は付箋に書いてデスクに貼り付けます。一日の終わりには今日の記録と明日の予定を確認して眠りにつくのですが、「どうせ目が覚めたら忘れてるんだよな」「明日、目が覚めなかったらいやだな」と恐怖を覚え、睡魔と闘うため「睡眠導入剤」の力を借りて無理矢理眠りにつかせます。その繰り返しの日々です。覚悟して「明日、目が覚めなくてもイイ」と思えるようになったのは蘇生後10年目を過ぎた頃からでしょうか…記憶がリセットされて翌日へ。その繰り返しです。

▼プロジェクトをやろうと思った理由

この障害は外見からは分からないため、私自身も障がい者支援センターなどの施設に行っても、同じ障がい者、職員のどちらからも利用者だと見てもらえません。その都度、自分の障害の事を説明することが多いのです。ましてや私の場合は自分でこの障害を見つけ、自分の症状も把握して説明できるため(何度も説明してきた結果、覚えてしまった)、医師でさえ本当に障がい者なの?と疑われた事も多々ありました。高次脳機能拠点病院にて認定され、障害者手帳も取得しているのに…です。
当事者である私の記録を、一冊の本として出すことが出来れば、この見えない障害を見る、周囲はどう対処している、などと言ったことを知る一助になると思います。本は全国の書店に並びます。これまで、「周囲の事を考えない」「空気が読めない」「言われないと動いてくれない」などと言われていた人が、そういう性格の人…ではなく「高次脳機能障害」かも?と家族や周りの人が気づいてくれれば、この書籍化は大きな意味合いを持つものになると強く感じています。

▼目標金額の内訳

目標金額は書籍化費用、リターンの製作費用・送料、達成時の手数料です。

書籍の概要(予定)判型:四六判、部数:1,000部

▼書籍について

書籍は(株)風詠社を通して、全国主要書店にて販売させていただく予定です。

内容につきましては障害発症当初から書き続けているブログを中心に構成されるため、80%ほど完成しています。

後は、個人情報に繋がる名称などを削除し、修正を加えた上で、日記形式で書かれた記述を編集者に選んでいただきます。

支援いただいた皆さまへリターンとしてお渡しする分は、出版社より必要冊数を確保いたします。

▼最後に

最後までご覧いただき誠にありがとうございました。

私はこれまで家族や友人、主治医、障害者支援センターの方々、行政の力に助けられながらここまで生きて来られました。「忘れてしまっても、皆が覚えているから大丈夫だよ」「障害があるんだから周りに迷惑かけてもイイ、体調の良い時にお返しすればいいんだから」多くの方々に、そう何度も声をかけていただきました。感情が欠け、「愛情」が分からない私でも、「感謝」と言う気持ちは心の中に大きく強く広がっています。それならば今度は私が誰かの役に立ちたい、「高次脳機能障害」者の実情を知ってもらい、認知度を高めるべく頑張ります。

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