はじめに・ご挨拶

ここ足利繊維産地は約1300年以上の歴史があります。
大仏時代(780年代)から絹織物を年貢にしていたとの木簡が東大寺の修復時に見つかりました。
当社の東側には機神山(はたがみやま。現在の織姫山)があり織姫神社(1879年)が奉られています。




そんな産地で1907年から染色業を営んでいると先代から聞かされていました。
私で4代目ですが、これからは染色だけでは経営が成り立たないと商品開発を始めました。


レ―ヨン=人造絹糸=人絹=JINKEN

子供のころ、家業の染色加工では糸染めをしていました。その時、じんけん箱という木の箱がありました。人絹糸の運搬用の箱です。しっかりしていたので遊び道具に使っていましたが、中身の糸には興味がありませんでした。
染色に携わるようになって、染めることからレ―ヨンをみると扱いにくい糸でした。
以前、当社はシルク糸を扱っていて、風合いは良いけど洗濯性がない、単価が高い、と徐々に敬遠する様になっていました。
3年前、風合いの良さからレ―ヨンと向き合いました。


その時に触れたのはレ―ヨン/綿(70%/30%)の混紡品。柔らかいのだけど天竺編にしたら腰がなくてだらしない。横張感がなくてクシャクシャしているのです。
2回試作を行ったが上手くいかずに、3回目は編立ではやってはいけないことに挑戦しました。糸を撚糸して表の糸より太くして編みました。編立上の欠点はあったものの生地の縮率安定性は良くなりました。何よりも良かったのは肌に対する風合い。
レーヨンを肌側に使う理由は、ここにあります。

レ―ヨンを発明した経緯は、絹糸が高いので代用品として作ったのです。
・・・
なるほど・・・
それならば「絹」の名称は使わずJINKENでこのプロジェクトを行います。


(注釈)JINKENは人絹=人造絹糸の意味。1884年、フランスのシャルドンネ博士が発明する。日本では1900年代になり帝国人造絹糸製造所(現TEIJIN)などか製造した。高価な絹糸の代替品とした。


糸の選択=JINKEN(レ―ヨン)の特徴
綿と同じセルロースを原料とする再生繊維のレーヨンには、綿にはない特徴や欠点があります。特徴はそのまま肌が享受できるように編に工夫をしました。
問題は「欠点」の克服です。

JINKENの欠点

水を含むと糸が縮む 
これを防ぐために芯にテクニカルファイバーの高収縮率ポリエステル糸を芯に使用して周りが綿糸のコアヤーン糸です。
これを表側にしたことで約3倍も太い裏側の糸、JINKEN糸を支えてくれました。
ここでの常識破りは表裏で糸番手を揃えなかったことです。
その代わりに、今までにない風合いを手に入れました。


水に弱いという欠点を補って、特徴はそのまま生かして新しい生地を開発しました。

1)熱伝導率が良い ➡肌の温度がすぐに伝わる
2)吸湿性、放湿性が良い ➡肌のベトベト感、ぬるぬる感が少ない

3)肌刺激が少ない糸形状 ➡肌がチクチクしない
4)静電気の発生が少ない ➡特に冬季にパチパチ感がない




柔らかさを言葉で表すと、『肌が柔らかさを感じない柔らかさ』
生地のイメージを表すと、『もう一つの、別の素肌』


綿糸断面の顕微鏡写真 
糸の中に孔がみえる。ここに空気、水分を保持する。
糸の周りにはスケールがみえる。

     


JINKEN断面の顕微鏡写真
ノズルを替えることで糸形状を替えられる。
糸全体で水分を含むので保水量は多い。


【感想】


サラッとして肌触りが良く、着てない様な着心地です。生地がしっかりとして持つとTシャツの重みを感じましたが、着ると不思議と重みを感じないです。透け感は中のインナーの色にもよりますが、透けにくいです。試着の時は黒のインナーを着用しました。伸縮性があり着やすいです。エリ部分はしっかりと縫製してある分、着る時に頭が若干通りにくさはありますが、着てしまえば特に問題なしです。
(159cm 53kg 30歳代 Mサイズ着用 )


プレーティング天竺編み

左図は編み機。表側の糸を44本、裏側の糸も44本そろえて編立ました。
表側が綿/高機能ポリエステル、裏側がJINKEN。

この工場は編立工場です。
繊維の小規模事業者の集合体が、現在の足利繊維産地です。
昔は大手企業もありましたが撤退が早くて今は残っていません。 各工場が連携して〝モノつくり”をしていかないと技術の継承が出来なくなります。ブランド化するために新技術を投入して時代に即した新商品の開発が必要です。
この生地は、柔性=肌に優しく、剛性=洗濯に強いHYBRID生地になりました。

糸の組成:75%JINKEN、19%綿、6%高機能ポリエステル糸

【感想】

レーヨンが主体とのことで、綿のTシャツに比べての着心地の違いに興味がありました。レーヨンはパルプ由来の天然材料を使用した再生繊維なので環境性に優れており、個人として環境負荷を軽減できるならと思い着用しました。
生地は厚手でしっかりとしているが綿生地に比べて柔らかさを感じました。レーヨンは綿より暖かく静電気がおき辛いのでインナーとして着用もできました。
また、糸が滑らかなので、肌触りがよく、着るときにも抵抗感がなくするっと着ることができました。ポリエステルが入っていることで、しっかり感があり生地が伸びてしまいくたびれた感じになることが少ないように思います。襟が共生地なのもリブニットが伸びてしまいだらしない感じにならずに済みます。良い感じのTシャツなので色展開があると良いと思います。
(168cm 58kg 50歳代 Mサイズ着用 )


染色加工

当社内です。一度に100kg染められる機械です。濃色用と淡色用です。左側の機械でミラノホワイトの加工を行います。
フルバッチで加工しますと約75kg(12.5kg/反、24m/反×6反、約144m)、水の使用量は75Kg×12倍=約3,600Lになります。
         
Tシャツ1枚/約1m使用しますから水の使用量は約25Lです。バケツ2杯半です。

ミラノホワイトは蛍光白です

SDGs的には二酸化炭素排出量の多い産業とされています。糸から生地を作り皆様にお届けするまでには水資源と熱資源を消費しています。
当社では低浴比染色機の導入を1980年から行っています。これにより水資源は約40%削減しました。それに伴いCO2の排出量も削減しました。2010年からは重油からガス化を図りCO2も軽減しました。

整理加工

染色加工が終わると、濡れた生地を乾かします。
同時に左右のピンで適切な巾に引っ張り仕上げます。
この生地は145cm巾に仕上げます。




ニット生地は左右と真ん中の縮率が微妙に変わります。
この巾だし工程が重要になります。
ヨコに引っ張った生地は洗濯するとヨコが縮みます。
タテに引っ張るとタテが縮みます。
タテ・ヨコのバランスが重要です。
左図の左側は新品です。右側は2回洗いました。
エリが少し伸びて、丈が少し縮んでいます。
ニット生地であれば合格です。






縫製加工
エリへのこだわり

最初に作った生地でTシャツの試作をしました。身生地は当社製ですが、エリのリブ編は買い生地です。当然のことながら糸の番手、メーカーが違いますから同じように劣化しません。

ここが嫌でTシャツを着ませんでした。

今回のエリは共布で作ってあります。まだ7回の洗濯ですが大丈夫なようです。リブの様に悪くはならないと思いますが、どうしても悪くなると思います。それなのでエリの長さを2cmにしています。

ブランドネーム

LeBerceauBlanc(白いゆりかご)
これがブランドネームです。エリにつければ良いのですが、当社では取り付けていません。
理由は簡単です。痒がる人がいるからです。

洗濯ネームは左わきに縫い付けてあります。取り扱い表示ですから取り付けの義務があります。痒がる人は切って保管してください。

生地の透け感

生地の透け感のテストです。茶封筒の上に1cmの黒丸を2個描き比べてみました。
今回の生地は上です。
蛍光色が目に入り下地の黒丸が見えないかと思いましたが、白黒コントラストか強くなり、うっすら浮かびます。
下は当社のミルキーホワイト色。色が濃くなれば見えなくなります。



サイズ

私がLサイズを着ています。
この白Tは最初にLLを作りました。それから、このLサイズとM,Sサイズを作りました。SSサイズの試作品はありません。
Lサイズを着ていて身丈の長さが気になっています。
「もう少し・・・あと2~3cm長くした方が良いかな?」

事務局に提出する前に決めました。LL以外は身丈を2cm長くします。




【感想】
着心地は申し分ないです。一番の問題は値段です。Tシャツに!と考えてしまうからなのでしょうが、5年着られる様に設計していると聞いたので、最後は下着として終われば安いかな?と考えました。そう考えるとLサイズでOKです。応援はLLサイズでします。

(身長:178cm、体重:77kg、年齢40歳代、Lサイズ着用)

【感想】

キン肉マンです。このTシャツならば肩のラインもキレイに出ます。キン肉マンが喜ぶ一着です。

(身長:170cm、体重76kg、年齢20歳代、Lサイズ着用)


検品作業風景

縫製加工が終わると検針工程に入ります。縫い針等々の金属を感知する検針器に通します。合格品だけアイロンがけをして検品作業を行い糸ゴミなどを取り除きます。袋に入れて完成です。

【感想】


 肌触りが良く着心地がとても良いです。
(さらさらした感じがしてます)
 ジャケットの下に着て仕事先にも着ていけるような品のあ   るTシャツですね。

 これからの季節(4月〜)に最高。

 (身長:158cm、体重58kg、年齢:60歳代、Lサイズ着用))



プロジェクトをやろうと思った理由

多量の水資源を使う業界として省資源加工が求められています。
これから地球温暖化が進めば今まで以上に『衣』の重要性が増すと思います。肌に一番近い所で着る『衣』の考え方を替える時かもしれません。
当社では天然繊維を中心に開発を進めています。理由は水分を吸収するから。水分を吸収すると、それは蒸散します。大気中に吐き出すことで肌側の温度が下がります。冬には水の代わりに空気をため込みます。この作用は石油由来の繊維ではできません。

(令和3年1月よりとちぎSDGs推進企業に登録しました。)

今回の生地は75%レ―ヨン、19%綿、6%機能性ポリエステルです。レ―ヨンは再生繊維と呼ばれていてパルプを主原料にして作られます。海洋汚染でやり玉になるポリエステルが問題になります。当社ではこれを使用することで着用期限の長いTシャツに仕上げ、廃棄時期を延長することでSDGsに貢献します。

資金の使い道

CAMPFIRE手数料
リターン製作費
発送経費
当社手数料
新商品開発費

リターンについて

実施スケジュール

プロジェクトの開始    
プロジェクトの終了 20221年5月29日
リターン品の生産手配     5月30日
商品完了検査         7月15日
リターン品の発送       7月20日から


最後に
「染」という字は「氵」=さんずい(水)が
「九」、「十」、「八」

染色は98%が水で2%が染料と先代社長から聞かされていた。ジャブジャブと水を垂れ流していた。
新しい機械が名古屋で発表されたというので見学させて頂いた。染色機にコンピューターを搭載したとの触れ込みであった。もう40年も前の話です。その機械は低浴比染色機。当社より40%近く水資源を節約していた。これでは勝てないと思った。約2年で設備をこの機械に取り換えた。

生地に色を付ける染色加工では多量の水資源を消費する。こんなに色が氾濫しているのに生成り色だけ淡色だけでは飽きてしまう。やはり彩が欲しい。白があれば黒もある世界が欲しい。
今回の生地はミラノホワイトの1色だけだ。一番水資源を消費しない色にした。
オフホワイトいろでも良かったのだが、私がミラノホワイトを着てみたかった。             

          

私が着たい生地を作り、着たい色にして、着たい形にした今回の事業です。
ぜひ、お付き合いください。
応援をお願いします。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


  • 2022/05/30 09:45

    ご支援を戴いた皆様この度は当社のプロジェクトにご支援を賜り誠にありがとうございました。低調な結果となってしまいましたが、今後とも良い商品を市場に提供し続けたいと考えています。今後とも当社の商品をご贔屓くださるようお願い致します。昨日など夏日続出で、今年の夏の天気が気になります。そんな時に着ても...

  • 2022/05/12 11:56

    今回は蛍光白=ミラノホワイトという事で耐光試験を行いました。JIS試験ではキセノン試験の20時間です。この試験では3級以上=合格ですが、自然光の場合でも1回目(8時間x3日=24時間)であればなんとか合格ですが、2回目(48時間)、3回目(72時間)では黄色くなってしまいました。これをカバーす...

  • 2022/04/23 09:49

    同じ太陽の下でも色は違って見えます。このシリーズの白は蛍光白でその名「ミラノホワイト」ミラノで見た白です。関東地方で見た色よりも、ミラノで見た色に近い気がします。

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