新型コロナウイルスの感染対策のための緊急事態宣言が全国的に解除されました。しかし、コロナの雇用に対する影響はこれから深刻化します。これまでは3〜5月の休業補償がないという相談が多かったのですが、さらに解雇、雇い止め、そして派遣切りの労働相談が増加しているのです。
 「派遣切り」というと、10年前のリーマン・ショックで製造業の男性派遣労働者が多く切られ、寮を追い出されて路上に放り出されていたことを思い出す人も多いでしょう。しかし、いま相談が多く寄せられているのは、女性の労働者、特に非正規雇用労働者の相談が圧倒的に多いのです。
 会社はあたかも、「女性は解雇しても問題にならないでしょ」と言わんばかりに、あっさり女性労働者を切り捨ててきます。しかし実際は、相談に来る女性たちは、フルタイム勤務で収入を得て、家計の多くを支えている人ばかりです。単身で親と生活していたり、シングルマザーであったり、共働きだが配偶者も非正規であったりという方も非常に多く、仕事をクビになったことによって、急速に生活困窮に陥っています。
 私たちのもとに相談にきた、ある女性労働者の言葉が印象的です。
「私の仕事は「小遣い稼ぎ」じゃない」。


 象徴的な事例を紹介します。Aさん(40代、女性)は、都内の大手百貨店の地下に店舗を構える和菓子屋で働いています。1日8時間・週5日のフルタイムで勤務し、勤続期間は2年半以上。実質的な職場のリーダーです。ただし、Aさんは派遣社員であり、3ヶ月ごとの不安定な雇用契約の更新を続けていました。
 また、Aさんはこれまでシングルマザーとして子どもを育て(いまは独立)、現在は年金生活者である父親を養っています。
 そんな折、今年4月の緊急事態宣言の実施により、百貨店が休業となり、和菓子屋も5月中旬まで休業。派遣会社は「不可抗力」で法的義務はないとして、Aさんに休業補償を一切しませんでした。Aさんは頭が真っ白になったと言います。5月中旬から百貨店は営業を再開しましたが、来客が減少したこともあり、シフトは大幅に半減し、月収も半減します。しかし、シフト削減分についても、派遣会社は一切補償を認めてくれませんでした。
 そして、5月末には、6月末での和菓子屋との派遣契約の終了を言い渡されました。同時に、派遣会社との雇用も6月末で切られるということがわかりました。4月から3ヶ月間、何の休業補償もないまま、追い討ちをかけるように、派遣会社からも放り出されてしまったのです。
 Aさんは、総合サポートユニオンに加盟して、派遣会社と団体交渉をしながら、雇用調整助成金を活用しての、休業補償全額支払い雇用継続と賃金補償を求めています。

派遣社員Aさんと労働組合のスタッフ、派遣会社とのオンライン団体交渉
6/8現在、会社は休業補償と雇用継続について、回答を検討中

 「今回のコロナの被害で、私たちのようなシフト制の派遣社員などは突然収入が途絶え、明日の生活もままなりません。今月の家賃、明日の食費すら払えないかもしれない。こんな時、国からの給付金も1ヶ月後やっと申請でき、2ヶ月後ようやく給付と言われても私たちはその間収入もなく税金の免除もなく給付金が入る頃には路頭に迷っているかもしれません。とにかく明日にも収入が必要な人に、もっと迅速に給付金や手当てが出るようになればと願います。」(Aさんのコメント)

 国や企業が守ってくれない、弱い立場の労働者を支える団体が、労働組合です。私たち総合サポートユニオンは、どんな企業からでも個人で入れる労働組合として、企業との交渉や宣伝活動の支援、労働者どうしの相互交流をつうじて、労働者を支援しています。
 私たち総合サポートユニオンは、どのような会社や業界で働いている人でも入れる、個人加盟の労働組合です。会社は、個人加盟の社外の労働組合であっても、団体交渉を申し込まれた際に、交渉に誠実に応じる義務があります。この権利を生かして、総合サポートユニオンでは、これまでも様々な業界の労働者が声を挙げ、会社に労働環境や補償を認めさせるためのサポートをしてきました。
 特に2月末以降は、臨時のコロナ被害の対策特別体制を組んできました。コロナ被害に関して、2000件に及ぶコロナの労働相談に法律や制度のアドバイスをしながら、数十件の企業と団体交渉を実施し、企業に国の助成金制度を使わせて賃金や雇用を守らせること、感染対策を徹底させることに取り組んできました。 
 そして6月以降は、さらなる解雇・雇い止め・派遣切りの深刻化に備え、総合サポートユニオン内に「コロナ対策特別チーム」を発足させ、拡大するコロナ被害に取り組むために、人員を増員し、以下の取り組みを強化しています。

・労働相談の呼びかけ(インターネットでのバナーや動画による啓発活動)
・コロナ被害にあった人の電話労働相談の受付(平日17〜21時(水曜休)、土日祝13〜17時)、メール労働相談の受付(随時)
・労働相談員の育成(労働相談学習会、労働相談練習会)
・労働組合加入希望者の面談、労働法や制度・労働組合についての説明会
・団体交渉申入書や要求書の作成、団体交渉のシミュレーション
・宣伝活動(宣伝計画の作成、プラカード制作やコール提案など街頭宣伝活動の準備、インターネット発信の文章作成、記者会見のプレスリリースや会見資料の作成、記者会見のシミュレーションなど)
・労働組合に加入した組合員どうしのオンラインミーティングの開催
・労働組合のSNSコミュニティの運営
・労働相談報告イベントの開催

組合スタッフによる労働相談の受付の様子。連日、深夜にまで及びます。

組合に加入し、会社と交渉を行うことになったら、事務所かオンラインで打ち合わせをします。

オンラインや会議室で、組合員どうしの労働相談内容や交渉の進捗の共有、交流もします。会社前での街頭宣伝行動。他の会社で働く組合員も駆けつけ、数十人が集まることもあります。

 このようなコロナ労働相談への対応ですが、相談受付になどかかる費用の不足が、私たち総合サポートユニオンの課題となっています。コロナにかかわらず、通常の労働組合の一般業務に加えて、コロナ相談に対して週6日(平日夜間と土日祝日の日中)の4〜5時間の電話相談に、最低3〜4人の相談員を配置して対応しています。これにメールでの労働相談のやりとりが加わります。
 4〜5月は逼迫した状況ながら、膨大なコロナ相談に対応してきましたが、この相談体制を維持し、これからの解雇・雇い止め拡大の情勢に備えてチームを組んで拡充するには、資金が枯渇しているのが実態です。このため、今回のクラウドファンディングを開始することになりました。用途は、次のように予定しています。

●相談・紛争解決活動に関する費用
・人員体制の整備に必要な諸経費(専門相談員の人件費、育成費や交通費等)
・通信費、消耗品費(労働相談に対応するための電話代、ホットライン代、ファックス代、コピー代等)

●広報費(WEBサイト制作費・デザイン費・動画制作費等)
 労働相談増加のための活動周知に必要なHPの改善や動画作成などのための広報費
●イベント開催費
 新型コロナの感染拡大によって現場で起きている労働問題を当事者や専門家と一緒に共有・検討するイベントにかかる費用(施設代・講師代・宣伝費等)
●調査・研究費
 新型コロナに関連する労働相談の傾向分析や統計報告に必要な費用
●GoodMorning掲載手数料、GoodMorning決済利用手数

<All-in方式で実施します。>
 本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

 総合サポートユニオンでは、これまでも団体交渉や申し入れを通じて、休業補償の支払いや解雇撤回を認めさせてきました。その一部を実績として紹介させていただきます。

[ケース1]フィットネスクラブ業界最大手A社は、3月から休業させたスポーツ施設の全国数千人のアルバイトたちに対して、休業補償を一切拒否していました。当事者たちがユニオンに加盟し、会社に宣伝活動を行い、記者会見を実施した結果、わずか4日で会社は前言を撤回し、休業補償が数千人に平均賃金の「10割」認められることになりました。[事件の詳細]
[ケース2]埼玉の製菓会社で、取引先である複数の大規模イベント施設で閉園や無観客試合が続いたことを受けて受注が減少し、正社員の40代男性が解雇か退職を迫られていました。総合サポートユニオンの要求に応じて1週間後、雇用調整助成金が利用されることになり、賃金を全額補償したまま、雇用が維持されることになりました。[事件の詳細]
[ケース3]東京都内の伝統工芸品店で勤務していたパートタイム労働者の女性が、コロナによる業績悪化を理由として、休業手当も解雇予告手当もなく、突然解雇されました。総合サポートユニオンに加盟して解雇撤回を要求したところ、パート従業員4名の解雇撤回、雇用調整助成金を利用しての休業手当の支払いなどを認めさせました。[事件の詳細]

総合サポートユニオンは、コロナ関係でメディアでも頻繁に取り上げられています。

 みなさま、応援をよろしくお願いします!


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