2018/07/11 17:11
2018年7月10日 午後5時鳥取砂丘集合
午後8時半までの約3時間半の長丁場!

※これらの写真は私のスマホで撮影したオフショット写真です。写真家柄木さんが撮影した写真ではありません。「この程度か・・・」なんてガッカリされないでくださいね。(近くチラ見せ出来たらと思いますのでお楽しみに。)

 当初予定していた7月7日か8日の撮影予定は、この度の西日本の豪雨災害に伴う諸問題と、当然のことながらの天候不順による「空」のご機嫌ナナメにより、撮影予定を延期。天気予報とカメラマンの空きスケジュールとにらめっこしながら、急遽7月10日の撮影を決定。この度の鳥取県立博物館で7月22日から開催する「麒麟エキシビジョン」へも麒麟獅子の展示出品にご協力いただいている伏野麒麟獅子舞保存会(鳥取砂丘から数キロ西にある日本一広い池「湖山池」の北岸周辺の地域)のみなさんに、お忙しい中めちゃくちゃ無理を言って、灼熱の鳥取砂丘にお集まりいただき、夕日を待つことになりました。まずは、急な相談に快く応じていただいた皆さまへ心より感謝感謝の限りです。

 重〜い麒麟獅子の頭をかかげ、真っ赤な装束に身を包み、まだまだ夕日とは程遠い、日の高い鳥取砂丘へいざ繰り出す。熱中症にならぬよう、クーラーに冷たい水をつめこんで・・・。


いざ鳥取砂丘の最高峰「馬の背」へ (伏野麒麟獅子舞保存会のみなさん)

 

 豪雨から打って変わって、猛暑となった日中の日差しの余韻を残す、広大な鳥取砂丘に繰り出す、麒麟獅子。快晴とは程遠い雲が広がる空。雲の合間に見えるわずかな青空。ほどよく吹き抜ける風とくっきりと澄んだ水平線。雲隠れした太陽から突如地上へ降り注ぐアーク。この状況が吉と出るか凶と出るか。前日のロケハンの不安が再び頭をよぎる。

 

不安よぎる前日のロケハン

 天気予報は晴れ。しかしながら、前々日からの豪雨の後、雲の具合はどうだろう・・。と不安に思いながら訪れた前日ロケ。果たして結果は。

 7月9日月曜日午後7時15分。狙うは、鳥取砂丘の馬の背に沈みゆく真っ赤に燃える大きな夕日の丸い光!直前の6時55分頃までは、まん丸の大きなオレンジ色の太陽が馬の背頂上へ迫って言ったのですが、もう少しで馬の背に・・・と思ったそのとき、西の空の水平線近くに横たわる大きな雲の帯にすっぽり包まれて、その美しく丸いオレンジの光の玉は、周りの雲にあっという間に溶け出してしまった。あ!このままでは隠れてしまう!と、撮影ポイントを変えようと慌てて砂の丘をダッシュで下っている間の、あっという間の出来事でした。

 太陽が沈んでいく砂丘に立ち尽くし、スマホの天気予報の衛星写真の雲の動きを見つめながら、雲が出たら、まん丸の夕日と星空は望めないな・・・。

「明日は晴れますよう・・・。」

ただただそれだけを祈るのみだった。

 

いざ鳥取砂丘最大の急斜面馬の背へ。奇跡の気配

 

 かなり大きいなぁ〜〜〜〜。と、さっき感動した大きな麒麟獅子が小さな豆粒のように、広大な鳥取砂丘に吸い込まれていく。こう見ると改めて鳥取砂丘のスケールに、鳥取砂丘には日頃馴れ親しんでいる地元民の我々ですら感動してしまう。


 「この手前に迫ってくるような雲は良いかもしれない!」

カメラマンの柄木さんは、目を輝かせ、冷静沈着にかつ、大急ぎでセッティングを始める。その姿に前日の不安が吹き飛ぶように、奇跡の一枚への期待が大きく膨らむ。おそらく、この雲模様なら、星空は無理だろう。しかし、この雲模様のおかげで計算し得ない奇跡の1枚となれば。

 

刻々とその表情をかえるドラマチックな麒麟の空

 前日のロケハンは何だったんだ・・・。

 前日は燦々と降り注ぐ太陽から、大きなオレンジ色の光の玉になって雲に溶けていった。今日は、実にその真逆。雲の隙間から時折顔をのぞかせる太陽とその光の筋。遠く西の空は雲が薄く丁度抜けているように見える。いつ雲から太陽が顔を出すのだ!手元の前日ロケハンメモの無意味さを思い知る。

 

どんな麒麟の空を描けただろう。

予測できない奇跡を収めることが出来ただろうか。

正に、乞うご期待である。

 

歩くことすら大変な鳥取砂丘のサラサラの砂地と急勾配の斜面
カメラを手に猛ダッシュで馳け廻る写真家魂

 数百メートル離れた麒麟獅子を望遠レンズで狙いつつ、光や空のご機嫌を伺いつつ、光の中で舞う麒麟獅子の間近まで駆け寄ってその奇跡の一瞬も狙う。平地ならまだしも、一歩づつが苦しいサラサラの深い砂地と急勾配が広がる鳥取砂丘でである。さらには、スウィートタイムが短くその表情を刻一刻と変えていく夕日を狙っている。

時間は限られている

 重いカメラ機材を手に、ファインダーを除いてはカメラを手に急勾配の鳥取砂丘の馬の背を駆け上がる。私なら1回でダウンだ。むしろ、駆け上がることすら躊躇するに違いない。写真家の柄木さんは、1時間程度のわずかな夕日のスウィートタイムの間に、なんの躊躇もなく、この過酷な砂地の急勾配を3往復した。感服である。

 

 遠く馬の背の上で、小さな豆粒のように見える麒麟獅子と柄木さん。戻ってくると、とらえた一瞬一瞬をカメラのプレビューで確認しつつ、「ほんとにその場、その時じゃないとわからないもんだね。これだから写真は面白い。」と、満足な笑みをうかべる。正に写真家魂をそこに見た。

 

ラストカットは陽が落ちきった真っ暗な砂丘

 夏になると、山陰の夜の海岸線には「漁火」と言われるイカ釣り漁船の光が現れる。とろりと旨い山陰の夏の味覚「白いか」を釣っているのだ。砂丘沖には白いかが集まる潮が西から東に流れているため、多くこの漁火が集まる。実に幻想的な光景だが、柄木さん曰く「星空を撮影するには大敵だ」とのこと。確かに実に明るい。最近の明かりは、最先端のLEDになり、光量も強くなり、ピークには水平線をこのまばゆい光でびっしりと埋めつくされる。確かにそれでは星空は撮れない・・・。砂丘で星空を撮影するなら、このイカシーズンを外すことが必須条件なのだとか。この漁火と砂丘の光のコントラストは絵になる光景ではあるが、「麒麟の空」としては星空が欲しかった。

 

その時、その場所ではないととらえられない一瞬がある。

そういう意味では、狙っていた星空は、他のロケーションに譲り、夏の砂丘の夜空と麒麟獅子の姿を、当初とは違った切り口でとらえることとなった。


夕日のみ撮影して帰る予定が、撮影し終わったら8時半にまでなっていた。
1時間半程度の予定の撮影時間が3時間半にまで大幅延長・・・。
次から次とくりだす、こちらの無茶なリクエストに最後までお付き合いいただいた
伏野麒麟獅子保存会の皆さま。本当にありがとうございました。

出来上がりを楽しみにしてください。