2020/10/17 17:08

まいど。NPO法人Reジョブ大阪の中の人です(笑)

このクラウドファンディングは、高次脳機能障害や失語症のある方たちが出演したり実行委員になったりして文化祭を開こう!というイベント資金の一部を集めるためのものです。


いよいよこのクラウドファンディングも残すところあと1日となりました。

今日は前夜祭のお話を。あ、前夜祭と言っても、10月24日の夜ではなく、実は10月2日の夜のこと。ややこしくてすみません!


ちゃんと聞こうと思うとパニックに

今回の前夜祭は、NPO法人Gift(ギフト)さんとの合同企画でした。

トップに「人のつながりを大切にした寄付の文化をつくります」とある通り、寄付を通じてNPOの活動を手伝ったり、代表の小山さんが会計士なだけあり、NPOの会計についてのセミナーを開いたりしているNPOです。人と人とのつながりを大切にするNPO。リジョブも募金箱事業ではお世話になっております。

当日は副理事長の荒川さんが司会。高次脳機能障害や失語症のことをあまり良く知らないので、むしろ勉強のつもりで~ということだったのですが、最初にしたzoomの説明などが少し早口でした。

私も西村も「はっ!最初に伝えておくのだった」と思ったのですが、すぐに鈴木さんの自己紹介になりました。

鈴木さんはニコッとして「聞き逃した方はセーフだったと思いますが『きちんと聞こう』とした方はパニックになっていると思います。少し休みましょう」

私たちもそうですが、割と大雑把な人たち(私と西村を含む)は、細かいことを気にしないので、少し言葉が聞こえなくても、意味が分からなくても焦りはしません。でも、障害がなくてもまじめな人って、聞き取れないことや、分からないことがあると「焦っている」ことが顔を見て分かりますよね。ましてや、脳の障害があって、残っている認知資源をフル稼働してまじめに取り組もうとすると、かなり脳が疲れると思います。そして余計パニックになってしまうのかもしれないと感じました。鈴木さんいわく、1つ分からない言葉があると、そこから意識が剥がせなくなり、あとから流れてくる言葉が日本語だと分かっても、意味のある言葉に聞こえないのだそうです。当事者のみなさんも、このお話には共感していたようでした。


自分がしていたことで「評価」してほしい

NPO法人Reジョブ大阪の理事長、言語聴覚士の西村紀子との対談がメインだったのですが、一番私が印象的だったのは、鈴木さんが「病院はできないことをさせすぎ」だという意見。「ぼくを、コミュニケーションや、数字を数えることで『評価』したら、何もできなかっただろう。でも、僕は物書きなので、文章が書けるかどうかで『評価』をしないと、病前の仕事に戻れるかどうか分からない」

ここでいう評価とは、一般的な評価ではなく、診断や支援のレベルや手段を決めるためのものです。

私は、この点はすごくよくわかりました。

例えば、野球選手が障害を負ったとしたら、コミュニケーションが取れるか、数字が数えられるかよりも、元通り野球ができるかどうかが重要なわけです。そう、私だとしたら、家でのオンライン事業が本職なので、例えば「今後は歩けません」と言われても、そりゃショックですが、仕事には直接差しさわりがないわけです。

もちろん、標準的というか、共通の評価がないとリハビリの方法も決定できないのでしょう。でも、鈴木さんのこの気持ちはとてもよく分かりました。


日本が疲れないこと

この日のイベントのアンケートでは、次のようなご意見もありました。


健常者の中で働く中途障害者は、健常者に負けないように自分に負荷をかけて、闘って、我慢して仕事を守って、頑張ってます。
そして、疲れても、大丈夫ですって言ってしまいます。
なので、社会環境が改善していくことがとても大切だと思います。
でも、日本は全体に疲れているので、人のことを観ている余裕がないのでしょうね


障害者に限らず、余裕がないと、人間、周囲が見えなくなります。全体が見えなくなります。それは人間として生き延びる術として身についた脳の自然な仕組みなのかもしれません。それでも、余裕がある場合は、危険な時こそ全体を俯瞰する能力が必要になりますよね。そして、そもそも、そういう力を付けるために、普段から余裕を持っていないといけないのかも。


自分が困っている時こそ人を助ける

アメリカイエール大学の研究で、その仕組みを逆手に取る方法があります。自分が困っている時こそ人を助けるのです。人を助けることで、ストレスが軽減され、幸福感を感じるそう。例えば、イラっとして余裕がない時こそ、道端に落ちているごみを拾うだとか、電車の中で席を譲るだとか、次の人のためにドアを押さえるだとか、そういう行為です。人間は社会的な生き物。だからこそそういう仕組みもDNA的に受け継いでいるのかもしれませんね。みんながその仕組みを活用したら、困っている人が少しずつ減っていく。私はそう信じています。


クラウドファンディングもあと1日。みなさん、シェアボタンをぽちっとするだけでもいいので、このボランティア活動に参加しませんか?