2020/07/22 11:04

皆様

こんにちは

「地球にやさしい」をデザインするキャンプチェア「chair1987」

のプロジェクトオーナーの寺島です。

今日は”chair1987"が誕生するまでの経緯をお話ししようと思います。


”chair1987" を作ろうと思ったのはちょうど一年前のこの時期でした。その時から、「金具やプラスチックは使わない」「軽量、コンパクト」「最悪の場合、焚火にできる」をコンセプトに設計していました。漠然としたイメージや構造から実物を作ってみることにしました。

そこで、最初に出来上がったものがこちらです。

構造を確認するためのモックアップ

脚を貫という部品でつなぎ、布(写真では紐)で引っ張ることで椅子として成立する形を考えました。実験ではここに体重約90kgの人が、座ることができました。この構造をもとに細部の意匠を考えていくことになります。

そして布で制作したものがこちらです。



これが第一号のキャンプチェアですが、出来上がってみて本当に酷いと思いました(笑)

怪物みたいに生えた肘置き、垂直に切り立った背もたれ、謎の前脚を固定しているプラスチックバックル。おまけに座ると前の貫が太ももにあたって痛いとクレーム続出!何もかも最悪でした。

ただこの頃から肘置きの留め方など、”chair1987”でも共通する仕組みが出来上がってきています。そして、ここでの大失敗をもとにまた構造を考え直すことにしました。

まず、太ももの痛みをなくす為にはどうすれば良いのかを考えました。問題は布を支えている部分にありました。座面の一番高いところが前の貫である為に、太ももに食い込むということが起きていたのです。

そこで、座面を支える位置を正面からみて左右に置く構造を考えました。しかし、今のままの構造では座面が水平になり、座り心地の良い座面の角度が再現できません。なので、思い切って左右の貫を一本ずつ増やしました。こうすることで座面に角度をつけながらも、左右の貫が正面の貫より高くなり太ももに当たらなくなりました。その他にも座面の角度や幅も変更して、さらに背もたれは角度をつけられるような構造を考案。それに伴って後ろの貫も増やし、軽さと引き換えにより頑丈な椅子に。と、細かく話すとキリがないですが、約三か月後、ようやくできあがったものがこちらです。



なんとなく”chair1987” に近づいてきました。ここでは構造的な問題はほとんどクリアして、座り心地も抜群いい良くなりました。あとは意匠的な問題と、金具やプラスチックを使用しないことです。

この後、肘置きの高さ、角度、背もたれの高さなどを調節し、”chair1987” の特徴的な背ものたれの固定方法を取り入れたものがこちらです。



ようやく”chair1987” の面影が出てきました。

この後、布の縫製や座面の固定方法などを試行錯誤し、細かな変更をいくつか加え、皆様にお届けする”chair1987” の形になりました。


今回はプロジェクト本文では中々書ききれなかったことをご報告させていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。