2020/05/08 16:23

いつも新人漁師を応援いただきありがとうございます。
皆様からご支援いただいたクラウドファンディングから1年が経ちました。
新人漁師・三浦くんは再び銀鮭シーズンを迎え、慌ただしい日々を過ごしています。

このたび、皆様にご支援いただいた資金を活用し、三浦くんが自分の船を持ちました。
地域の漁師さんが使わなくなった船を譲り受け、皆様からのご支援やコツコツ貯めたお金で船外機(船のエンジン)を購入し、ようやく自分の船を持つことが叶ったことを、この場をお借りしてご報告させていただきます。

養殖に使うためにはもっと大きな船が必要ですが、このサイズの船があれば、自分で好きなときに網や籠を仕掛け、魚を獲ることができます。


船の名前は「大輝丸」。
自らの名前を船につけた理由を、三浦くんはこのように語ります。

「共にこれから『大きく輝ける』ように進んでいきたいという思いと、地域の漁師さんがお互いを船名で呼ぶことが多いことので、まだ知らない漁師さんにも外から来た僕のことを覚えてもらいやすんじゃないかと思って」


4月吉日。
みんなに見守られながら、「大輝丸」を海におろす進水式が行われました。

進水式は、通常は新しく造った船を初めて海におろすときに行われるものですが、新人漁師である彼が初めて船を持ったその意味を大切にしたいと、親方のはじめさんの発案で執り行われることになりました。

本当にささやかな手作りの進水式です。
船名が書かれたお手製の旗とTRITON PROJECTの旗を掲げ、「大輝丸」は、いざ海へ。

カラフルな大漁旗はありませんが、雄勝の青い海や山によく映えるその白い旗は、漁師になりたいと飛び込んで来た彼の真っさらな気持ちを表しているかのように、眩しく見えました。

(船に降り立った三浦くん。とにかく嬉しそう!笑顔が止まりません)

進水式は、海の神様へ祈る「儀式」でもあります。
海には信仰がつきもの。
漁師さんは日頃から海を司る神様を大切にし、縁起事や古くからの言い伝えをとても大事にしています。

新人漁師である三浦くんも、親方のはじめさんに倣い、見様見真似で供物やお神酒を備え、海の神様に安全と豊漁を祈願しました。

儀式のあとは、いよいよ初航走。

弟弟子を乗せ、「大輝丸」が海に飛び出します。
見てください、この嬉しそうな笑顔!

この日、新たな命を宿した船は、はじめは不安そうにゆっくりと。
徐々にスピードをあげて。
若者たちと海を走れる喜びを分かち合うかのように、白い波を立て、何度も弧を描きながら、走り続けました。

漁師になりたいと飛び込んできたひとりの若者。
それを受け入れたひとりの漁師。
その小さな革命はたくさんの人を巻き込み、この浜の未来を大きく変えようとしています。

そんな彼らを後押ししてくれたのは、紛れもなく、これを読んでくださっている皆様一人ひとりの力です。どうかこれからも彼らの成長を見守り、つながり続けてください。

彼らの抱える葛藤も、ほんの小さな喜びも。
こうしてたくさんの人と共有していくことが、水産業の明るい未来につながると私たちは信じています。

さぁ!
船を手に入れた三浦くんの新たな冒険がはじまります。

どうかこの海で、大きく輝くことができますように。
たくさんの人に船の名前を呼んでもらえますように。

「水産業の未来をつくろう。一緒に」