2022/03/25 06:22
哲弘記

2018年の6月のこと。
宮崎県の高千穂神社にて、正式参拝が厳かに執り行われた。
正式参拝の「後」ではなく、式の「中」で舞うことが認められた奉納舞。
私はフォトグラファーとして参列し、式を静かに撮り続けた。


この奉納舞から縁して、その舞姫は、遠くフランスの和光神社でも奉納舞を舞うことになった。

この話を聞いた妻は『哲さんも行ってきたら?』と。
この突拍子もないアイデアと感情が妻・純子のまさに特徴であり特長。
確かに舞姫とはあるワークを共にした仲でもあり、『正式参拝で奉納舞を舞いたい』という彼女の思いを一番に受け取り、企画リーダーに取り次いだ私としては、思い入れもある。
だけどこの時は、私のフランス行きは実現するに至らなかった。

時を経て今回、私たちはスペインとスイスの間に位置するフランスで、この和光神社に訪れることを決めた。
というより、自ずと決まっていた。という方が感覚的にしっくりくる気がする。

参拝しようとしたときに急に雹が降ってきて、大慌てで屋内に逃げ込んだことも。
改めて参拝を開始したときに、ぱぁっ!と日の光が差してきたことも。


参列の皆さまとともにした食事も。
その場で即興で開催することになった飾り巻き寿司のデモンストレーションも。
そして行く先々で出会ったハッとさせられる光景も。
あの時は帰り道に夕飯の食材調達のためにスーパーを探していて、でもGoogle Mapが指し示す場所にはスーパーはなくて、川のほとりに出てきた。そこで出会った光景。

全てが導かれているような気がした。



純子記


すごくいいアイデアで、わあーーーっと盛り上がっても、思い通りにならないこともある。けれど、その時はそのタイミングではない、いつかベストのタイミングがやってくる。それがこのゆかりさんの足跡を訪ねることだったと感じる。あの時行けなくて本当によかった。今回気持ちよくぴったりパズルのピースがはまった!


神社参拝の後、みなさんの食事会にご一緒させてもらった。カレーとアップルケーキ。食事中フランス語での会話なのでのわからなかったけれど、住職の奥様と参加者の女性一人が日本人だったので通訳してもらっていた。レストランで食べるのも素敵だけど、こんな食事会にの仲間に入れてもらえる経験はもっともっとうれしかった。


皆さんに飾り巻き寿司の写真を見せるとわあ~!と盛り上がり、金太郎あめのように切っても切っても同じ柄が出てくるこの寿司に興味津々。  一体どんな構造なのか、どうやって作るのか見てみたいとのこと。

急遽、
米、炊飯器、酢、海苔があったので、ターメリックでご飯を黄色に色付けして、白と黄色二種類のすし飯用意。ほうれん草とチーズを具にした「バラ」と「藤の花」を説明しながら巻いた。
みなさん「なるほどーーーー」と感心。
見るだけでなく自分で巻いて切ってみたらもっと感動する。




私は今まで何度もこの飾り巻きずしに助けてもらってきた。

日本でも外国でもこの寿司をプレゼントしたり、作り方を教えるととても喜ばれてその場が盛り上がる。人と仲良くなれたり、文化交流出来たり、私を覚えてもらえたり。
このヨーロッパ旅は寿司のお陰で実現できた。
何か一つでもいいから芸、得意なことを持っていると宝だなあと思う。
そしてそれはみんな必ず一個は持っている。

飾り巻きずしはすし飯と具材、海苔をきっちり計って、きっちり並べて巻くことで整った柄が出来上がる。
だから普段は必ずきっちり計って作る。

でも今回のようにいきなりその場で作るチャンスがくることもある。
その時「はかりがないので、指定の材料がないので出来ません」と断っては勿体ない時がある。ある材料と頭の中の分量と手の感覚でパッと作れたら絶対いい!

なのでシンプルな柄で良いからレシピなしで作れるレパートリーを増やしたいと思った出来事だった。

充実感と感動で和光神社を後にして、勧められたお城を見てから宿に帰宅。



このゲストハウスももちろん素敵なのだがオーナー夫妻の家がまた見とれるほどすてき、、、、。

入ってみたいなあ~とずっと思っていたら願いが叶った!

宿泊最後の夜、オーナー夫妻が良かったら自宅に来ない?と誘ってくれた。

日本からのお土産持って飛んで行ったら、まあ~~~すてきであたたかい家の中☆



とっておきのシャンパンとチーズを出してくれて時間の許す限りたくさん話をして、最後は奥さんがハープを聴かせてくれた。

こんな交流があまりに豊かであまりにうれしくて最高~~の夜だった。




あともう一日あったら、この人里離れた美しい田舎のこの夫妻の為にフランスにちなんだお寿司を巻けたら良かったなあと思う。

さあ、すごく名残惜しいが明日はフランスを出発!