金融機関を退職して、友人との約束を守るためにアフリカでの起業に挑戦。日本人初となるトーゴ共和国での会社づくりがスタートします!!!

〇ご挨拶

 1990年生まれ、京都府出身の中須俊治(なかすとしはる)と申します。今年7月に地元金融機関を退職し、創業の準備をしています。学生時代は単身アフリカ大陸へ渡り、西アフリカ地域に位置するトーゴ共和国という国で、アジア人初のラジオ局のジャーナリストとして働いていました。世界最貧国での生活の豊かさに感銘を受けた一方で、障害者差別の現場を目の当たりにし、現地の友人と「みんなが笑って過ごせる世界をつくろう」と約束して帰国しました。このたび、その約束を果たすべく10月にトーゴ共和国へ飛びます。友人と共に描いた世界の実現に向けて精いっぱいアクションを起こしていきますので、よろしくお願いします。

 

〇プロジェクトの内容

「アフリカの素材×京都の技術」

 アフリカの素材と京都の伝統技術を活かしたスタイルの商品を企画・製造・販売する構想をしています。西アフリカ地域に普及している「パーニュ(フランス語で腰巻の意)」と呼ばれるアフリカ布を、前職であるバンカー時代に触れた京都の伝統技術を取り入れて制作します。その際、10人に1人が障害者といわれる現地の方々を制作チームに迎え入れ、社会的に弱い立場に身を置かざるを得ない人たちの生業をつくります。

 そのための活動拠点として、1年以内に事務所兼工場を建設したいと考えています。

2018/10/25~  西アフリカ地域にて臨地調査

2019/3~   事務所兼工場の建設に着手

2019/12    事務所兼工場の完成

↑建設候補地

 

「アフリカ布、パーニュについて」

 西アフリカ地域に住む人たちがファッショナブルに着こなすアフリカ布、パーニュは独特なデザインをしています。性別を問わず、また世代をこえて親しまれているパーニュは、西アフリカ地域の象徴ともいえるような代物です。しかし、流通しているパーニュの多くは現地でつくられたものではありません。オランダや中国で企画・製造され、アフリカ諸国へと販売されています。

 かつてヨーロッパ諸国との交易が盛んにおこなわれていたことを背景として、大量生産・大量消費という時代の流れ、そしてあらゆる文化を柔軟に受け入れてきた現地の方々のスタンスが絶妙にマッチした結果、パーニュは普及していきました。

↑パーニュはシャツに仕立てられたりして親しまれている

 

「日本から飛行機で40時間くらいのところに、トーゴ共和国という国があります」

 アフリカ大陸の西側にトーゴ共和国という国があります。在留邦人が数人しか居ないので、多くの人にとってはあまり馴染みのない国かもしれません。しかしながら、東日本大震災後、いちばん早く日本に駆け付けた大統領はトーゴ共和国の大統領です。宮城県仙台市を訪問し、復興支援としてチーク材が贈呈されています。

 そんな国の人口は700万人くらいです。公用語はフランス語ですが、40くらいの民族がそれぞれの言葉を話します。国の平均年齢は、なんと19歳。若さと勢いがある国です。それを裏付けるかのように経済成長率は5%を超えます。主要産業は農業(コットン、カカオ、コーヒーなど)です。また、西アフリカ海岸で唯一の港があるので、西アフリカ地域に住まう3億人の市場を支えています。

 一方で、トーゴ共和国は世界最貧国のひとつとして挙げられる国です。また、国連開発計画(UNDP)の調査によると、10人に1人が何らかの障害をもっています。そのような方々は、職業選択の自由が皆無といっても過言ではありません。施設に入ることができた人を除けば、物乞いをするケースがほとんどです。

 現地は経済的な指標でみれば、低い数値を示すかもしれません。しかしながら、現地の生活のなかでは不思議と貧困を感じることはありませんでした。そこには、お互いがお互いのことをよく知っているような温かい人間関係が、確かに存在していたからです。

↑トーゴ共和国の首都、ロメにて

 

「パーニュの地産地消、京都の伝統技術を活かす」

 わたしが仲良くしていた現地の友人の多くは、語弊を恐れずにいえば「ナルシスト」でありました。見ず知らずの人の車のまえに立って「写真を撮ってくれ」と言うし、無地の壁を背に、身なりを整えたかと思うと「すこしアップで上半身を中心に撮ってくれないか」と言うのです。

 このときわたしは「この人たち自身が、この地域にあるものを使い、自分たちがカッコイイ(あるいはカワイイ)と思うようなものをつくりあげていけないだろうか」と思いました。しかも、「社会的に弱い立場に身を置かざるを得ない人たちも含めて、一緒につくりあげることが出来たら」と。

 そして彼らがつくる商品は、大量に生産されて大量に消費されていくようなものではなく、一つ一つに手の温もりを感じられるものにしていきたい。すでにそこにあるものを活かして、新たな切り口の商品へと昇華させていきたい。

 かつてパーニュがヨーロッパ諸国から受け入れられていったように、さまざまな文化を柔軟に取り込むスタイルが、そこにはあります。その新たな文化として、パーニュに京都の伝統技術を織り込みたいと考えています。バンカー時代、京都の伝統的に培われてきた技術に触れました。絶妙な風合い、ムラ感、繊細さ。そのクオリティの高さは、モードの最高峰であるパリコレクションでも注目を浴びるほどでした。わたしたちは、アフリカ×京都をテーマにして、手作業だからこそ伝わる温もりを大切にしていきます。

↑世界的なハイブランドからもオファーがある京都の職人さん

 
〇プロジェクトに挑戦する理由:かつて友人と交わした約束を果たすため

 わたしがトーゴ共和国を訪問したのは6年前のことです。当時は大学生で、知らない世界を見てみたいという気持ちから、日本人がほとんど居ない国に行きたいと思っていました。そこで、西アフリカ地域に位置するトーゴ共和国という国をはじめ、周辺4ヶ国をめぐりました。

↑アフリカ大陸の図。赤色のところを訪問した。

 幸運なことに、わたしは国際的な支援組織をとおしてトーゴ共和国でラジオ局のジャーナリストとして働くことができました。勤務先は首都のロメから乗り合いタクシーで2時間ぐらい北上したところにあるパリメという町。そこは日本人どころかアジア人さえも居ないような地域だったので、わたしが現れるや否や、ものすごい人だかりができました。現地語で自己紹介をすると歓声があがり、握手を求められたり、ハグをしたり、肩を組んで飲みにいこうと誘われたりしました。こうしてわたしは、その地域で急速に友人が増えていったのです。

↑バカ騒ぎする友人たちとわたし

 ヤオという、酒とタバコと音楽が好きな友人が居ました。彼は障害をもっていました。わたしたちの言葉でいうダウン症です。しかし現地では「悪魔」と呼ばれ、マルシェに行くと集団リンチを受け、レストランに入るとオーナーにムチで叩かれて追い出されるといった光景を目の当たりにしました。

 しかし、そんなヤオをいつも体を張って守る友人もいました。マックスという、ヒゲがモジャモジャのエスカルゴ職人。エスカルゴを養殖し、ヨーロッパ諸国に輸出する仕事をしていました。彼とはよくバーに行き、朝まで踊り明かすような仲でした。そんな彼が、いつになく真剣な表情で言ったのです。

 「たしかに、おれは金を持っていない。でも、大切な友だちが悲しんでいるのを尻目に金持ちになんてなりたくない。おれは、ヤオみたいなやつも含めて、みんなが笑って過ごせるような世界をつくる。」

 このときわたしは、彼が語る世界を一緒に見てみたいと思いました。

 「今は大学生で出来ることは限られているけれど、今度はビジネスマンとして帰ってくる。今よりもお金を貯めて、人脈をつくって、経験を積んで、いつか必ず帰る。だからその夢、諦めんなよ」と別れのハグをした記憶は、帰国してバンカーとして働いてもなお、色褪せることはありませんでした。

 6年前の約束を果たすために、また友人と共に描いた夢を実現するために、プロジェクトの挑戦を決意しました。

↑エスカルゴ職人の友人、マックス

 

〇プロジェクトに必要な資金

総額:1,000万円

(内訳)

調査費:100万円(渡航費、滞在費、移動費、人件費など)…今回、支援いただきたい金額

事務所兼工場建設費:400万円

ミシン、アイロン購入代:20万円

材料仕入資金:150万円

備品購入費:50万円

研究開発費:30万円

オペレーションシステム開発費:100万円

現地職人の日本派遣にかかる資金:150万円

 
〇リターンについて

 支援をいただいた方へのリターンは、パーニュでつくられた布製品やオリジナルグッズなどのモノだけでなく、オンラインでの臨場感あふれるアフリカ現地の模様をお伝えするサービスをご用意しています。詳細については、リターンのページをご覧ください。

 
〇さいごに

 金融機関を退職して創業の準備をしていると、自分の小ささを思い知らされます。頭のなかに広がる景色とのギャップに押しつぶされそうになります。それでも、わたしが諦めないのは「誰かの悲しみのうえに成り立つ社会に無関心でいられないから」です。

 これまでわたしは、人間くさい優しさを存分に受けてきました。高校時代の部活動、大学時代のサークル活動、バンカー時代にお世話になった先輩方やお客さん。そんな関わり合いをとおして、「悲しみを生むのも人間であるが、優しさを生み出せるのも人間である」と思うようになりました。

 どうせ生きるなら、誰かの優しさで育んでいく社会をつくっていきたいと思っています。ご協力のほど、よろしくお願い致します。

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