▼個人の問題を社会化するソーシャルワーカーという職業
ープロジェクトの目的と自己紹介ー

 

NPO法人Social Change Agency代表の横山と申します。
私は元々、大学卒業後に一般の総合病院でソーシャルワーカーとして働き、
入院・外来患者さん家族が、病気や怪我によって生じる社会的な困りごとの
解決・軽減をお手伝いするという仕事に従事していました。


-病気になることで生じるさまざまな困りごと(一例)-

・入院して仕事を休み収入がない…生活費も心配
・退院した後、元通り仕事に戻れるかな/学校に行くのが心配…
・病気で体が弱ってしまった…。これからも一人で生活ができるだろうか…
・自分が入院したら、子どもを見てくれる人がいない…
・自分が入院したら、父親(母親)を介護する人がいない…どうしよう
・退院しても、介護が出来ない(介護をしてもらえる人がいない…)
・入院して住み込みの寮を追い出され、退院しても、帰る場所がない

 私は、上記のような相談に対して、社会保障制度をはじめとする社会資源の活用を通して、
その人の困りごとを解決・軽減をお手伝いするということをしてきました。

-困りごとが生じる原因は社会の側にこそある-

病院に勤務していた6年前の夏、担当した複数の患者さんの状況が、あまりに共通項が多く、驚いたことがありました。

リーマンショックのあおりを受け勤務先の経営が悪化しリストラされ、
家賃滞納を繰り返し、アパートを退去させられ、ネットカフェにたどり着いたという患者さんたち。

アパート入居費用を貯めるため、ネットカフェから派遣労働に出て、
派遣現場で体調を崩し、救急車で病院に搬送されて入院
体調は以前から思わしくなかったが、勤務先をリストラ後、
国民健康保険の加入手続きをしておらず、無保険状態にあり、お金もないため受診控えをしていた。

上記のようなエピソードが多くの患者さんから聞かれました。

 

派遣労働の現場から救急車で運ばれ緊急入院をした人に対して、病院の職員としてできることは、経済的問題への対処としての生活保護の申請サポート、退院後の住まいの確保のサポートくらいでした。

ふと、思いました。

・リストラされた時点で
・家賃を滞納した時点で
・アパートを強制退去になった時点で
・ネットカフェに住まうようになった時点で

上記に至る前のどこかのタイミングで、何かしらの情報やサポートを届ける仕組みがあったとしたら、受診を控えて、救急車で運ばれてくること(つまりは、階段を転がり落ちること)はなかったかもしれない、と。病院という川下ではなく、もっと川上でこの人たちと出会い、支える術はなかったのか、と。

その問いを得たことで、わたしは病院を辞め、法人を設立しました。

現在は、本プロジェクトである社会に働きかけることができるソーシャルワーカーを養成する事業と、さまざまな対人支援を行っている組織にソーシャルワーカーとしての知見を提供する連携協働事業(機関が対応されているケースに関するスポットでの相談、 ケース会議への出席、新規福祉サービス事業の立ち上げ期支援、オーダーメイドの研修作成)などを行っています。(所属している有給メンバーは5名.全員がフリーランスです)

 

-ソーシャルワーカーたちが社会へ働きかけるための力を得る/そして行動へ-

困りごとが生じる原因は社会の側にこそあります。

ソーシャルワーカーたちは、
社会構造上の問題によって生活上の困りごとを抱える人たちの近くで、
その人たちの声を聞くことができる立場にあるからこそ、
社会福祉の現場から問題を提起し、社会に働きかけていく行動を起こす、
つまり、個人の生活問題を社会化していく必要があると考えています。 

社会福祉の現場から社会へ働きかけるための学びの場を創出したいという考えのもと、
昨年に引き続き、本年7月から9ヶ月の研修プログラムを実施します。
 

昨年度は各回計30名弱の方にご参加いただきました。(のべ223名)

昨年度のプログラム報告はこちら
今年度のプログラム詳細はこちら

 

今期は、社会福祉分野以外の専門家にも知見を提供いただき、
基礎パート、実践者から学ぶパート、スキルパート、実践(演習)パートの4セクションに分かれた、
より実践的なプログラムとなっています。

 

今年度のプログラム詳細はこちら


対人援助の現場から社会への広い眼差し、問いを有しているみなさん、
ともに問い、学び、行動を起こすために、本プログラムに参加しませんか?
(ご参加をご希望される方は、このサイトからチケットをご購入ください)


また、直接プログラムには参加できないけれど、
本プロジェクトにご賛同いただける方のご支援もお待ちしております

▼このプロジェクトで実現したいこと

私たちは研修を作って売る会社ではありません。

所属しているソーシャルワーカーたちは、私も含めてさまざまな現場で日々クライアントの方たちと向き合っています。それゆえ、さまざまな不条理を感じ、私たち自身が変わり、力を得て、社会に働きかけていく力をつけていかなければと痛感しています。

また、現在、ソーシャルワーカーたちが社会に働きかける力を得る本プロジェクトだけでなく、冒頭にお伝えしたネットカフェから救急車で運ばれてきた方のように、さまざまな社会のシステムから排除され、困りごとを抱えている人の困りごとが重篤化する前に、困りごとを抱えている人々の「生活に近い場所」で、支援を必要としている方に支援を届けるという場をつくっていく予定です。 

▼資金の使い道

講師謝金/交通費(60万円)
会場代(40万円)
印刷製本代(5万円)

上記必要経費の一部に充てさせていただきます。

▼リターンについて

本クラウドファンディングは、購入型(本研修プログラムの参加チケット)となっています。
本プログラムにご参加を希望される方は、希望参加回数に応じてご購入ください。(回数の選択ミスにご注意ください)
ご購入後、メールにて、ご参加を希望される回などをお伺いいたします。

プログラムの内容はこちらから
一般参加申込みの場合:各回4000円(Day3、Day4午前・午後各4000円)、2018年3月のシンポジウム:1500円
本クラウドファンディング後、別サイトで残席分の参加申込を受付予定です(7月中旬を予定しています)

▼最後に

私は、幼い頃、大病で命を落としかけたことがあります。
闘病により、家族、友人、教育、遊び、そして、地域社会から隔絶された時間を過ごし、治療を終えた後も、副作用からくる外見の異質さに、街行く人から異形を見る視線を向けられ、指をさされることもありました。

社会的に弱い立場にある人、自分と異なるものを社会が排する。
社会から吹き付ける排除の風が、自分のからだとこころに強く打ちつけた、原体験でした。

そんな自分の背中を力強く支え、排除の風から守ってくれたのは、
家族、友人、教師、医療関係者、ソーシャルワーカー、制度、骨髄を提供してくれたドナーの方でした。

10年後、わたしはソーシャルワーカーという社会福祉の仕事につきました。

社会福祉は、社会の周縁に追いやる排除の風から、人々を守ってくれる社会のインフラです。
生まれや出来事によって、機会が奪われたり、権利が侵されることのないよう、誰もが社会に居場所をみつけ、意味ある人生を送ることができるよう、社会の変化によって風向きを変える排除の風から人々を支え守るために、社会福祉も「変化」していかなければなりません。

生活上の困難を抱えている人の声には、社会の排除の風から人々を守るための種/ヒントが詰まっています。その昔、炭鉱夫達をガス爆発から守った炭鉱のカナリアのように、その時代の困難を引き受け、社会構造のひずみを教えてくれる「時代のカナリア」であると言えるかもしれません。

だからこそ、社会福祉の現場に身を置くわたしたちソーシャルワーカーは、さまざまな変革の主体と手を取り合い、誰ひとり、社会から排除させない社会をつくることに貢献していかなければならないと考えています。

ぜひ共に、学び、そして行動していきましょう。


NPO法人Social Change Agency
横山北斗

 

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