▼これまでの歩み

新しい工場を作って、そこで後継者を育てたいという発想に至るまでのこれまでの歩を説明します。

刃物産業がある兵庫県小野市で生まれ育ち、現在地域産業の継承と活性化に取り組んでいる、デザイン会社の合同会社シーラカンス食堂 代表の小林新也と申します。

 2013年より地元の刃物組合からの相談がきっかけで、職人の後継者問題の深刻さに直面し、なんとかしようと様々な方法で問題解決に取り組んできました。

刃物職人の世界は元々下請け仕事で、職人の後継者問題を引き起こした低賃金の問題を解決するために、地元の刃物産業に「播州刃物」という高価格帯の地域ブランドを作り、海外やこれまで開拓されていなかった客層に新規で販路を開拓してきました。産地内の意識改革と後継者問題にしっかり向き合うことを目的として、組合や職人へのフィードバックや、国内での情報発信にも力を入れてきました。

こうした中、2015年10月に手打握鋏の職人が一人の弟子を迎え入れることを実現し、さらに翌年には地元行政がそれを支援する流れに至りました。

これまでの播州刃物の活動は2015年にグッドデザイン賞ベスト100、さらに特別賞を受賞し、多くの方の励みとなってきました。もちろん僕にとっても大きな希望になりました。

グッドデザイン賞2015プレゼンテーション( リンクは2015年のグッドデザイン賞のプレゼンテーションの様子。お時間のある方はご覧ください。播州刃物の活動内容をお話させていただきました。)

しかし、握鋏の職人さんは結果的に受け入れ可能でしたが、現在後継者問題に直面している花鋏や盆栽鋏の職人はとても高齢で、いつ引退してもおかしくない状況です。伝統の技を教えてくださる気持ちもあるのに、身体がついていかないような状況です( 写真は花鋏専門の井上昭児さん。現在80代後半とご年齢 )。

さらに、前述した地元行政の後継者育成の支援金は、最低条件として一年以上弟子として働いた実績がないと認められません。今回の方法でも弟子と認められれば、1年後に後継者としての支援が受けられる可能性はあると考えています。一人前になって商品を製造して稼げるようになるまで、別途生活費が必要なのです。

上の古流鋏は井上さんの商品。井上さんのつくられてきた鋏は本当にかっこよくて、何かが他のものと違うのです。その何かに僕は惚れ込んでいます。

 

握鋏の水池さんのところに寺崎さん( お弟子さん )が来られて今年で3年が経とうとしています。

しかし思い返せば、2013年から約10名の後継者志望者と出会いましたが、現在その中からはこの寺崎さん1名しか後継者になれていません。他の方は断られ、中には海外に帰って行かれた方もいます。ちなみに、一人前になるには最低10年はかかると言われている世界なので、受け入れ側だけでなく、志望者の気持ちや環境など理由はそれぞれ複雑なものでした。

こういった事を経験していく中で、そもそも後継者を高齢化した個人の職人の工場に弟子入りさせるという考え方を変えなければ前に進めなくなってきました。

別の考え方で進めようと思うようなったそんな時、小野市からそんなに遠くない姫路市に住んでいる25歳の志望者、藤田純平くんが連絡をくれました( 左側が藤田くん )。

※ 後継者の志望者は現在3名。

弟子入りするのではなく、最初から新しい工場を作り、地域の職人全員から学べるようにする。これが今やろうとしていることです。自分がついた師匠の顔色を伺わなくてもいいから、いろんな職人にアドバイスを受けやすいのです。思い描いているイメージはこんな感じです。

工場の建設は僕の事務所前にあった中庭です。このアイディアで進むことを決めて、庭を整備し始めたのは2017年の8月頃でした。そして、藤田くんがその最初の職人になりたいと強い意思を持って小野市に通うようになりました。最近では日々工場作りを共にしています。彼の登場はタイミング的にも、人間性的にも何か運命のようなものを感じています。工場作りの様子は短いですが、上の動画の中で写っているものです。下の写真は現在工事中の工場の様子です。

 

▼このプロジェクトで実現したいこと

教えてくれる方たちがとてもご高齢ですので、工場完成も、育成開始も急がないといけません。職人の年齢的に一刻を争う状況なので、教え方や道具に近代技術や新しい発想を入れて短期間での実現を目指します。この新工場づくりと更なる発展、そして志望者が生産性を手にして一人前になるまでの資金的にご支援をお願いしたいのです。

後継者を過去に受け入れた握鋏職人の水池さんが、今回の新工場作りについて語ってくださいました。

刃物をこよなく愛する、組合副理事長の金物問屋の岡田さんから志望者と支援者に向けてメッセージをいただきました。

▼このプロジェクトのこれまでの活動

数年前から準備をしてきました。上記で述べた意外に以下のことをしています。

・職人技を動画で記録・鍛冶屋から参考になる鋏の購入・無くなりつつある材料の購入・工場の基礎づくり・古い機械の保存活動・将来作りたい商品のデザイン開発・そして現在工場作りを進行中。

▼資金の具体的な使い道

後継者育成の新工場の設備を整える資金と、後継者が一人前になるまでの活動資金として活用させていただきます。

引退した職人から譲り受けた、古い機械と新しい機械を組み合わせて、手作業の刃物づくりに最適の環境を作ります。

さらに技術のデータ化( 映像や数値 )などを生かして、技術研究しやすい環境をソフト面でも作り、継承のスピードアップを図ります。

古い機械は基本的に生産がすでに終了しているなど、中古を活かす他に方法はありませんので、引退した職人から譲っていただきました。長い目で今後のものづくりの維持と発展を考えた場合、新しい優れた環境を作る機械等の設備も重要だと考えています。

具体的な設備:

・工場の耐火補強

・電気工事、水道工事

・焼入れ焼戻等の温度管理の機械

・集塵機( 人体の安全面を確保したい )

・湿度、温度管理等の空気設備

・炉の素材

・機械の据付工事、安全装置

・後継者の最低一年間の生活資金 × 人数

( これらはあくまで現時点での希望であり、具体的には進めながら多方面の方のアドバイスを元に設備等を検討したいです ) 

▼リターンについて

様々なリターンを考えました。以下のリターンに加えて、ご支援してくださったパトロンの皆さまのお名前、または本名を掲載したくない方はニックネームを、弊社のホームページ等に記載させていただきます。

● 3,000円
産地の小刀1点とお礼の手紙
2018年07月からお送りします。(20個限定)小刀は一般的にカッターのように使っていただけます。片刃になっており、繊細な作業ができるため、木工や竹の職人などもよく使用しているものです。研ぐことで長く使えます。

● 5,000円
手打鍛造握鋏の材料1セット(軟鉄と鋼)とお礼の手紙
2018年06月からお送りします。(70個限定)こちらの握鋏の材料のセットは、手に入るようなものではなく、特別に世界に一人だけの握鋏職人の水池さんに用意していただきました。

● 5,000円
産地の折り込み式ナイフ1点(シルバー)とお礼の手紙
2018年06月からお送りします。(40個限定)折り込み式ナイフの肥後守(ヒゴノカミ)はこの播州地域が誇る歴史あるナイフです。一般的にはカッターのように使っていただけますし、アウトドアやクラフトでもご使用いただけます。研ぐことで長く使えます。

● 5,000円
握鋏1点とお礼の手紙
2018年08月からお送りします。(30個限定)握鋏(ニギリバサミ)は一般的に裁縫用の鋏で、主に糸を切る鋏です。他にも生地の端を整えたり、ヒゲを整えたり、ちょっとした用事に便利な鋏です。研ぐことで長く使えます。

● 10,000円
見習い中の弟子が作ったナイフ1点とお礼の手紙 
2019年07月からお送りします。(100個限定)見習い中の職人が鍛造(タンゾウ)や研ぎなどの練習の時に作るナイフです。形状や表面は一つ一つ無骨な印象に仕上がると思いますが、最低限の刃物のクオリティを出したものを作ります。クラフトやアウトドアで使っていただけます。研ぐことで長く使えます。

● 10,000円
ただただ支援したい!という方に心を込めた御礼のお手紙をお送りいたします。
2018年07月からお手紙をお送りいたします。

● 30,000円
師匠が作った携帯用花鋏(生花鋏:池坊)1点とお礼の手紙
(職人さんの先生としての講師料に使われます)
2018年08月からお送りします。(10個限定)熟練の職人である井上昭児さんが作られた生花の池坊鋏です。とてもレアな小さなサイズです。お花を切るための鋏です。数少ない最後の商品です。 

● 50,000円
お礼の手紙と播州刃物おまかせ2点セット
2018年08月(15セット限定)こちらのセレクトで、数ある播州刃物の中から2点(二種類)の刃物をお送りします。あえて、全く分野の違う刃物をお届けします。

● 50,000円
ただただ支援したい!という方に心を込めた御礼のお手紙、御礼の動画をお送りいたします。
2018年07月からお送りいたします。 

● 100,000円
お礼の手紙と播州刃物おまかせ3点セット
2018年08月(10セット限定)こちらのセレクトで、数ある播州刃物の中から3点(三種類)の刃物をお送りします。あえて、全く分野の違う刃物をお届けします。 

● 100,000円
ただただ支援したい!という方に心を込めた御礼のお手紙、活動報告メールをお送りいたします。
2018年07月からお手紙をお送りいたします。

● 150,000円
手打鍛造の握鋏のプロセスのセット1点(オブジェ、額装)
 2019年06月からお送りします。(10個限定)

● 200,000円
師匠が作った花鋏(生花鋏:池坊 or 古流)に金の象嵌細工した鋏1点とお礼の手紙
2019年06月からお送りします。(5個限定)熟練の職人である井上昭児さんが作られた生花の古流鋏です。このお花を切るための鋏に京都の象嵌職人が純金で細工したものです。数少ない特別な商品です。

● 250,000円
産地巡りツアー(1日一組3人まで)一泊二日、工場見学、新工場見学、お礼の手紙と、お好きな播州刃物2点
(小野市にあるリノベーションした古民家かビジネスホテルに宿泊していただきます。交通費は含まれておりません。工場見学では3箇所の鍛冶屋工房をご案内します。播州刃物は小野市でお渡しします。日程については一緒にプランを立てましょう)
2018年08月から実施したいと思います。(3組限定)

● 300,000円
産地巡りツアー(1日一組3人まで)一泊二日、新工場での1日刃物作り体験、お礼の手紙と、お好きな播州刃物2点
(小野市にあるリノベーションした古民家かビジネスホテルに宿泊していただきます。交通費は含まれておりません。新工場では簡単な小刀(ナイフ)作りの体験をしていただけます。工場見学では2箇所の鍛冶屋工房をご案内します。播州刃物は小野市でお渡しします。日程については一緒にプランを立てましょう)
2019年06月から実施したいと思います。(2組限定)

● 500,000円
あなたが未来の鍛冶屋さんかもしれません。この新工場での一年間の修行を約束します。修行に関する事以外の交通費等の費用は含まれておりません。※工場での修行には審査が入ります。予めご了承ください。

2019年04月から実施したいと思います。(3名限定)


● 1,000,000円
ただただ支援したい!という方に心を込めた御礼のお手紙、職人さんからの御礼動画、活動報告メールをお送りいたします。
 2018年07月からお送りいたします。

 
追加リターン

● 4,000円

家庭用小鎌1点とお礼の手紙

鎌(カマ)はこの播州地域が誇る歴史ある商品です。すごく薄く切れ味があるのに刃こぼれしにくい、ロングセラー商品です。全長230mmと家庭菜園や雑草抜き等に使いやすいサイズです。2018年08月からお送りします。(60個限定)

 

●6,000円

産地の折り込み式ナイフ1点(黒)とお礼の手紙

折り込み式ナイフの肥後守(ヒゴノカミ)はこの播州地域が誇る歴史あるナイフです。一般的にはカッターのように使っていただけますし、アウトドアやクラフトでもご使用いただけます。研ぐことで長く使えます。(肥後守のサイズは中と大をご用意しておりますが、ご指定できません。)2018年07月からお送りします。(30個限定) 

 

●15,000円

播州(三木市)で作られた万能包丁1点とお礼の手紙

一般的には文化包丁と呼ばれるこちらの包丁ですが、独特な形状をしています。日本最古の文化包丁という説もあり、使い勝手は抜群です。全長295mmと、一般的な家庭用サイズです。2018年09月からお送りします。(50個限定)

 
▼最後に

ものづくりには大きく二つの領域があり、大量生産する設備の作業員と、一点一点手作りで金型などの量産用の設備を使わない職人です。後継者問題は後者の方なのですが、高齢化した鍛冶屋の工場は、使っている道具や工場環境がとても古く、まさに熟練した感覚がないとそこでものづくりをするのは困難な状況です。

むしろその工場はそこで長年やってこられた職人の身体の一部のようなものなのです。更にその工場の土地は、職人の敷地内にあり、将来的にそこを引き継げるような状況でもありません。

なので、これまで本物の職人になりたいと思う若者がいても、僕の地元では弟子を受け入れられるところがほとんどありませんでした。今、そのもったいない状況をみなさんと共に変えようとしています。

ものづくりと文化を愛し続けたい。

世界中見てもこのような先進国でありながら、脈々と受け継がれてきた伝統や文化が今も大事に残っている国はとても珍しいです。その中でも刃物作りはかなり独特な進化を遂げてきています。それは芸術品に匹敵するレベルを手で量産してしまっているような、とんでもなく凄いことなのかもしれません。

また、何かを作る時にほとんどの場合何かを切るところからスタートするように、刃物はものづくりや文化を支える道具として使われています。

しかし、金型等を使わずに一点一点お客様に応えられる鍛冶屋や研ぎ師は全国でも少なくなりました。産地としては規模が小さくなることで機械や材料の問題が連鎖的におこり、目には見えにくいですが状況的にはまさに風前の灯火です。

一方、世界に目を向けてみると自動で機械がものづくりをするように超大量生産が加速化。AIの導入で、生産現場からは人がいなくなります。しかし、だからこそ人間は、本来の本質である文化を作ることに戻ろうとしています。僕たちもその一人なのかもしれません。このムーブメントは世界中で起こりつつあります。

せっかく世界中から愛され、評価してくれるものづくりがこの日本には残っているのだから、それを大事に守りつつ、さらに進化させて日本から世界を文化的に豊かに出来たら面白いと思いませんか?僕はそう思います。賛同してくださる方からのご支援を心からお待ちしております。 

 

 

 

  • 2020/01/27 10:41

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2019/04/12 09:56

    久しぶりの投稿となります。パトロンのみなさまご無沙汰してしまっております。工場が立ち上がってもうすぐ1年になろうとしています。お陰様で現在2名修行中で、育成工場の継続性なども徐々に形になりつつあります。後返礼品の3点についてのお知らせです。● 手打鍛造の握鋏のプロセスのセット1点( オブジェ、...

  • 2018/06/27 15:10

    終了の30日の23時59分59秒まで、今日を含めてあと四日となりました。 後継者志望者の藤田くんは道具作りをずっとやっています。徐々に燃料の使い方、風の使い方、手の感覚、スピードやクオリティ、短い時間でもレベルアップを明らかにしていっています。工場は夏らしく暑くなってきており、さらに火の前で...

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