▼はじめにご挨拶
☆☆☆リターンのアートレポート(35000円)は、支援者全員にfbグループでお知らせする事になりました!なので、選択しないようにお願いします!☆☆☆
初めまして、アーティストのノガミカツキです。最近、在外研修制度に落ちました。在外研修制度というのは、文化庁や財団が海外にアーティスト等を派遣して、勉強してこい!という制度です。周囲の声もあり、自分は受かるだろうと鷹をくくっていましたが、見事に落ちました。行く気満々だったのでとても落ち込み、UFOキャッチャーとサウナで憂さ晴らしをしていました。
しかし、2017年に起きた助成金問題。デジタルアーティストゆえの生活力の無さ。助成金頼り助成金に縛られるアーティスト達を見ていて、制度に甘える態度など、自分で問題視していた部分がありました。自分の未来は自分で決めたい。
アーティストなら、行きたい時に行きたいとこに行けばいい、自分でセルフ在外研修を行おう!と思い立ちました。
また、日本人は会社が嫌でも会社に居続けたり、嫌なことから逃げない傾向があります。
もちろん助成金が頂けるなら頂きたいです。それがダメだった時に道がもう無いのではなく、どうアーティストとしてサバイブするかというのを示したいと思います。クラウドファンディングが成功して自分で海外に在外研修できる事が示せれば、日本人アーティストの現状に何か刺激になるかと、勝手ながら考えました。
↓パフォーマンス作品
具体的な研修内容
研修内容
作品のテーマにあるのは、日常生活で当たり前に享受するテクノロジーへの介在性の探求と、現代のインターネットの景色を抽出する事です。前者はGoogleが家の中のログを保存したり、Apple製品が人間の手から離せないような、企業から個人への介在に対して、個人がそれに抗う介在性についてです。後者は、匿名性から出る内面性や公私が一体化してしまっているコミュニティから見える景色です。実際に体験しないでも、誰かのレビューや写真で自分が体験した気分になる、こういった体験の変遷も、現代の産物です。これらは、モネの風景画のような切り取られるべき、現代の風景だと考えて居ます。デジタルエンターテイメント都市と呼ばれ新しいものに寛容で、現代アートが凝り固まって居ないモントリオールにて、これらの研究を通して新たな価値のジャンルを作り出します。この制作が、この時代に生きるアーティストの自分の役目であり、意義ある行為だと私は考えて制作しています。
この研究テーマに基づき、研修先のtopological media labやMilieux、SATなどで自分の作品を説明してディスカッションを行う。特に日常的に使うテクノロジーへの自主性や、インターネットやSNSについての質問などを行う。デジタルアートの価値化についても議論していく。
NYにある現代アートの風潮や、ヨーロッパのメディアアートっぽさなど、皆が選んでしまう制作場所では無い、北米にありつつも仏語が第一言語で文化が入り混じっていて、オルタナティブなシーンを形成できると考え、モントリオールを選びました。
↓Twitterのクソリプbotとコピーbotが会話する様子をGoogleHomeで再現。言葉の主体性が無くなって行く様を表現した。w/Taiki Watai
6ヶ月から1年の研修を行おうと考えています。
2018.4 リサーチの為の機関等訪問を研修中続ける。イベントの多い4月から、7,8月にかけては特にリサーチに専念する。
2018.7~9 暖かい内に公共の場でのパフォーマンスなどの発表を試みる
2018.9~12 ワークショップやプレゼンテーションを行い意見交換をする。()
2018.10~3 モントリオールの冬はとても寒いので、特にこの時期は作品制作の時間を増やす。ここでつくった小作をwebやプレゼンで紹介していく
2018.12~3 展覧会へ参加する。自分のスタジオの成果展や、ギャラリーやでフェスティバルのopen callに応募して展示
研修先はコンコーディア大学のTopological Media Lab 今年はArs Electronicaのキャンパス展でも展示をする教育機関です。
↓WIREDのツアーでモントリオールのMoment Facotryを訪れた際の写真 by Xavier Girard Lachaîne
背景
デジタルアーティストとして作品を売る、アートフェアに出展する、という計画があります。
デジタルを使った作品だと、所有欲がそそらない、ブツとして存在しない、などの理由でアートフェアーには出展されにくく、それだけでアートとして認められない事もあります。その価値観を打開していきたいと考えています。これは音楽や漫画、アニメなど、デジタルを扱っている業界全てに共通するトピックであり、デジタル時代の人間として考えていくべき事です。
ヨーロッパやアメリカではデジタルアートフェアーを始めて、UnpaintedやPaddles ON!などの試みが行われて居ます。しかし、やはりディスプレイ毎売るという方法が多く見受けられます。インスタレーション毎売るというのは、メンテナンスなどを含め、美術館のようなスタッフが常駐している場所でないと難しく、個人間では難しいです。
日本のメディアアートの現状は、手法にとらわれがちであったり、ステージ演出や遊園地のような娯楽施設的な消費をされたり、研究機関とコネクトしないとコンテクストが成り立たなくなっていることが多いです。
しかし、だからこそデジタルの新しい売り方を考える楽しさがあり、オリジナリティを出せます。私はマテリアルやテクスチャなどに興味があり、映像彫刻的な映像の支持体を考えていこうと思います。Rafael Rozendaal等がドメインを売っていたのを知った時は、自分にとって衝撃でした。新たな所持する方法、価値の見出し、新たな文脈でのデジタルアートの扱われ方を、日本に還元したいと考えています。
↓インスタレーション作品
▼プロフィール
92年製コンテンポラリーメディアアーティスト。新潟県長岡市出身。ベルリン芸術大学でオラファーエリアソンに師事。武蔵野美術大学卒業。
文化庁メディア芸術祭19th新人賞、ArsElectronicaサウンドアート部門選出、学生CGコンテスト20thグランプリ、ifva21th silver award、アジアデジタルアート大賞2015優秀賞、FILEやWRO、Scopitone等海外メディアアート祭に出演。VICEにアーティスト特集、WIREDやDesignBoom、装苑、映像作家100人など多数メディア掲載。group_inou等のMVや、CMなどを多数制作。
▼資金の使い道
制作費と、現地での生活費です。財団の在外研修では350万円が1年の基準でしたので、足りない分は貯金と借金で補います。
↓映像インスタレーション
▼リターンについて
多種多様なリターンを用意しました。
▼最後に
色々な国で展示してきましたが、やはり短期間だと設営で手一杯で終わってしまいます。留学してた時の、自分は日本人だけど、この国に住んでいる、じゃあここでしかできない事をやろう!となってから、自分の作品作りが大きく変わりました。同じコンテキストを共有していない人にも伝える作品づくりを、日本人のアイデンティティや文化を意識するようになりました。長期間住むという割り切りが無いと生まれない成長でした。この成長を、今のキャリアの自分にまた課したいです。
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