▼はじめに

こんにちは。一般社団プラスケア代表理事の西智弘です。

(写真右が私、左は暮らしの保健室に常駐するコミュニティナース・石井)

私は、市内の総合病院で、がんの専門医として勤務する一方、2017年4月に一般社団プラスケアを起業し、運営しています。

一般社団プラスケアは、医療者と市民とが気軽につながれる場所「暮らしの保健室」を運営する会社です。

開設以来、半年間で200名近くの方が暮らしの保健室を訪れ、病院にかかるほどではないのだけど…という悩みや、主治医には中々相談できないこと、または病気を抱える患者さんを支える家族としての苦悩など、様々なことを相談していかれました。

▼プロジェクトをやろうと思った理由

暮らしの保健室に持ち込まれる悩みの中には、医師から出される薬やこれまでの医療制度では解決が難しい問題が多く含まれていました。例えば

「夫が認知症で自宅から出られず、ウツウツとしている」

「子供がまだ小さいのに、親が病気になって介護。手が回らなくて助けてほしい」

「がんという病気を抱えて、どうやって生活をしていけばいいのか困っている」

などです。こういった課題は、これまで病院ではあまり重要視されず、患者さんや家族は自ら解決方法を模索するしかありませんでした。


一方、イギリスではこういった「医療の枠組みでは解決が難しい問題」を解決する仕組みがあるといいます。それが「社会的処方」。社会的処方とは、医師が薬を処方することで患者さんの問題を解決するのではなく、「地域とのつながり」を処方することで問題を解決するというもの。例えば、認知症が進み家に引きこもりになった方に、薬を処方するだけではなく、その方の元々の仕事が例えば植木屋さんだったとしたら、地域美化に取り組んでいる市民団体を紹介してつなげてみる、ということ。認知症でも昔からやっていた仕事は覚えていて、周りのサポートがあれば花壇の手入れなども取り組むことができます。そういった社会活動に参加することで脳が活性化し元気になっていく方もいます。一方で市民団体側も、プロの技術をもった方が入ってきてくれたことで活動の質が上がるかもしれません。


イギリスではこの社会的処方を一元管理している「Single Point of Contact(SPOC)」という組織があり、対象となりそうな患者さんがいた場合、医師がSPOCを紹介し、SPOCが社会的処方を紹介するという流れがあります。

この仕組みを日本でも導入していくため、一般社団法人プラスケアでは「社会的処方研究所」を2018年4月から立ち上げます。

▼社会的処方研究所の仕組み

社会的処方の枠組みの中では、地域の方々が生活している中で得た情報、それら全てが「財産」になりえます。

ただそれは、そのままでは砂に埋もれた砂金のようなもの。その砂の中から医療というフィルターを用いて「本当の金」を精製するのが社会的処方研究所の役割。つまり、社会的処方研究所は市民と医療者が協力して、地域の中にあふれる情報の中から、本当に有用な情報を選び出し、そして「薬」として役に立つ形に作り上げていくという仕組みです。

社会的処方研究所の機能は「Research」「Factory」「Store」の3つから構成されます。

Researchは、フィールドワークなどによる研究活動や、外部講師を招聘しての勉強会を行います。医療者や市民のスキルアップと、研究活動から「ソーシャルキャピタルの箱(社会的処方データベース)」へ入れる材料を見つけ出すことを目的とします。つまり、ここは町中に眠っている「お宝」を探しに行く活動とも言えます。

Factoryでは、市民と医療者が集まってワークショップ形式での処方箋作成を行います。具体的には、その日のお題(例えば、認知症とかダブルケア、など)について各自が持っている情報や、Researchで町中から集められた情報をマッピングし、それを元にして課題を解決できそうなアイディアをみんなで出し合っていきます。また、実際にFactoryに足を運んで参加する以外にも、メールやツイッターを利用しての参加も可能です(毎月第2火曜19時~21時、武蔵小杉での開催を予定しています)。

このFactoryへの参加で、有用な情報を提供頂いた方には景品や仮想通貨(ビットコイン・モナコイン)をお返しします。

医療的に専門性が高い情報が有用とは限りません。「私の知り合いにスペイン語話せる学生がいる」とか「近所のお婆さんが元保育士みたいなんだけど、今は引退して毎日暇そうにしている」といった情報の方が、もしかしたら価値が高いかもしれないのです。とりあえず参加、とりあえず発言、とりあえず投稿、というだけで景品をゲットできるチャンスがあります。

ResearchおよびFactoryの活動で集められた材料および処方箋は、暮らしの保健室(=Store)でデータベースに蓄積し、保管します。一方で、地域の医師から利用の問い合わせや患者の紹介、または地域住民から直接の要望があった際にそれらの配布を行います。また、作成した処方箋については「社会的処方箋集」としてまとめる予定です。社会的処方箋集は2018年度版~2020年度版まで作成する計画で、行政や医療福祉法人や関係各所に配布予定です。

Storeにおける問い合わせや処方箋の提供は無料としたいと思っています。ちょっとした悩みでも気軽にお越しいただき、なるべく多くの方の助けになることを期待しています。

▼資金の使い道

社会的処方研究所の予算として、以下を計上しています。

・Research予算:外部講師招聘費、資料作成費、会場費など=20万円
・Factory予算:資料作成費、景品準備費、社会的処方箋集作成費など=50万円
・Store予算:会場賃借費、人件費、備品購入費など=500万円
・その他:広告費、雑費など=30万円
合計600万円/年

今回のクラウドファンディングでは、この予算のうちResearchとFactoryの資金(+返礼品・クラウドファンディング手数料=15万円)を集めます。

今回は「All-In」方式で資金を集めますので、仮に目標金額に達することが無くても2018年4月からこの企画はスタートします。

もし、目標金額を上回る資金をご支援いただいた場合は、Storeの予算として使わせていただきます。

▼リターンについて

今回立ち上げる社会的処方研究所は「つながりを稼ぐ」ことが目的のひとつなので、単にお金を集めるだけでは面白くありません。

今回のクラウドファンディングでは、返礼品のひとつに「やくそく」という仕組みを取り入れることで、「つながりを稼ぐ」を実践します。

●「やくそく」の仕組み
クラウドファンディングで3000円を提供してくれた方20名に、「やくそく」というカードを配布します。そのカードは「Factoryに5回以上参加すること」を約束するカード。そして実際に参加してスタンプを集めると、そのカードと3500円分の景品が引き換えできます。ただし、自身は3000円分の景品を受け取った後、そのカードを500円分の権利と共に他の人に譲る、という選択をすることもできます。譲った場合、その受取人は同じように「Factoryに5回以上参加すること」を約束することになり、達成した時には1000円分の景品引き換えの権利を得ます。その後は同様に、1000円分の景品を受け取ることもできますし、自身は500円分の景品を受け取って500円分の権利+カードはまた別の人に渡していくこともできます。

また、他にも暮らしの保健室で提供しているコーヒー「暮らしの保健室ブレンド」を返礼品として提供します。

暮らしの保健室ブレンドを作って頂いている「Mui」店主の大沢さんは、世界中から集めた最高品質の豆だけを、丁寧に、適切に焙煎して、傷んでいる豆は手作業で取り除く、という地道な作業を通じて、これまでに味わったことのないような透明感のあるコーヒーを生み出しています。

また他にも、「1day暮らしの保健室」の開催権や、代表理事・西の講演、また大人気のイベント「生と老と病と死のワークショップ」の開催権などの返礼品もございます。

(返礼品一覧)

①3,000円:「やくそく」の購入 (限定20名)

②5,000円:社会的処方箋集2018~2020にお名前を掲載 ※仮名などでも可

③8,000円:②+「Muiの暮らしの保健室ブレンド」200g(送料・梱包料込)

④10,000円:②+「Muiの暮らしの保健室ブレンド」400g(送料・梱包料込)

⑤10,000円:社会的処方箋集2018~2020にお名前を掲載 ※②より大きく掲載されます

⑥10,000円:②+「暮らしの保健室」会員権 ※会員となった方には、暮らしの保健室で行われるイベントの案内や、サービスの優待が受けられます。2018年4月~1年間有効。

⑦50,000円:⑤+Webサイト・パンフレット・会報誌などへの企業や団体名およびロゴの掲載(広告)※1年間掲載します。※宗教や特定の治療法を推奨するような企業の方とはお付き合いできず、この引換券をご購入をいただいてもお引換できない場合があります。

⑧50,000円:「1day暮らしの保健室」開催権 「暮らしの保健室」があなたの地域に出張します!※日時要相談、交通費別途。会場費は依頼者のご負担になります。

⑨100,000円:がん専門医・西智弘による講演(60分)※日時要相談、交通費別途。講演内容については相談に応じますが、専門や活動内容と離れている場合はご期待に添いかねる場合もございます(購入前に、お問い合わせいただけると幸いです)。

⑩100,000円:「生と老と病と死のワークショップ」開催権(120分)チケットが完売する人気のワークショップがあなたの町に出張します!今年度は大学や学術団体からも開催の依頼を頂いています。普段の生活では意識をしない「生」や「死」。このワークショップでは「老」や「病」の体験から「死」へ向かう歩みを追い、「生」をあぶりだします。未来と今をつかむ感覚を、ぜひご体感ください。※日時要相談、交通費別途。会場費は依頼者のご負担になります。

※1回の支援ごとにシステム利用料として¥216(税込)をご支援者様にお支払いただきます。

▼最後に

これまで、多くの方々が「誰に相談すればいいかわからない」「どこに情報があるのかわからない」「インターネットには情報があふれすぎていて、どう選べばいいかわからない」などの問題に苦しんできました。

社会的処方研究所の仕組みができあがれば、「まずはあそこで相談してみよう」となり、迷う苦しさが1つ楽になります。

この仕組みを医療者だけではなく、市民みんなで作っていくこと、それによって地域がどんどん良くなっていくこと、そしてこの仕組みが全国に広まっていくことで日本が変わること、を期待しています。

 

▼一般社団法人プラスケア代表理事プロフィール

西 智弘(にし ともひろ)

川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 腫瘍内科/緩和ケア内科

一般社団法人プラスケア代表理事

2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。また一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」の運営を中心に、地域での活動に取り組む。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『緩和ケアの壁にぶつかったら読む本』(中外医学社)、『「残された時間」を告げるとき』(青海社)がある。

  • 2018/03/18 12:33

    本日、目標額の85万円を達成しました! 皆さまありがとうございます! まだ数日、期間が残っていますので、追加でご支援を頂ければ嬉しく存じます。 追加でご支援を頂いた分につきましては、暮らしの保健室の運営費としてご利用させて頂きます。 今後とも何卒よろしくお願いします!

  • 2018/03/14 18:36

    本日、社会的処方研究所のキックオフミーティングの参加募集を開始しました! 参加をご希望の方は、以下のリンク先からお進み頂き、申し込みをお願い致します。 http://www.kokuchpro.com/event/soshaken/ 多くの方のご参加をお待ちしております!

  • 2018/03/09 17:18

    今回、私たちの「社会的処方研究所」は、studio-Lの出野さん・西上さんと横山医院の横山先生が代表を務めるCo-Minkan(こうみんかん)と協力し、川崎だけではなく横浜も含めた社会的処方を作っていくことになりました! Factoryについても、このメンバーを中心に川崎と横浜を会場として展...

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