はじめに

こんにちは。東シナ海の小さな島ブランド株式会社、通称=island companyの代表をしています、ヤマシタケンタと申します。現在、34歳で2児の父。家族4人で鹿児島の離島に暮らしています。

九州の南、鹿児島県薩摩半島より西へ沖合30キロメートルほどの東シナ海に位置する甑島列島(こしきじまれっとう)の最北端、里集落に本社を置いている地域デザインカンパニーの創業者でもあります。

里集落の人口は、現在およそ1,000人で高齢化率は52%を超えています。コンビニはもちろん、高校もないような少子高齢化の進む国境の島で育ち、私自身も中学を卒業後、15歳で一度島を離れることになりました。そして、今からおよそ10年前に甑島にUターンし、資本金10万円という、小さな会社を立ち上げました。それからしばらくして、氷屋だったという一軒の空き家を譲り受け、いつの日かここにたくさんの人々が集まってくる風景を夢見て、古民家の再生プロジェクトをスタートさせたのでした。

改修作業をしていると、たくさんの人たちが懐かしそうに眺めていきました。

「ここで、よくかき氷を食べたんだよ。」
「青年時代かな?もう60年前?よく集まっては、向かいの縁側に座ってお酒を飲んだ。」
「ここは浜町通りと呼ばれていて、もともと島の銀座通りだったんだよ。」

集落のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、今はもう色褪せてしまった、私の知らないまちの記憶を語ってくれました。その時、古いと捨てられた島の記憶に、大切な宝物が隠れているような気がしました。

山下商店甑島本店(本社)

島には、仕事がないー

そんな言葉を当たり前のように聞かされて育ってきた、高度成長期以降の日本を生きる私たちの世代。思えば幼少期のわたしは、「仕事がない」という響きが、島には「魅力がない」のように聞こえて、どこか悲しい気持ちになっていたことを今でも覚えています。なぜなら、多くの人が続けて、

昔は良かった・・・と言うのです。

そうした「良かった時代」以降に生まれた私たち。これから生まれてくるだろう島の子どもたちにとっての故郷は、どうでしょうか。この時代に生まれて良かった。この島に生まれて良かった。ここで暮らして良かった。この島で、安心して最期を迎えたい。そんな風に思える今を創りたくて、私は、変わりゆくものと、変わらないものを大切にisland companyの仲間たちとここで生きています。これまでのおよそ10年間、耕作放棄地を再生しながらの米づくり「島米Shimagome」をはじめ、レモングラスなどの農産物の生産や加工事業、古民家をリノベーションした集落唯一の豆富店「山下商店甑島本店」の開業や小さな島の日常に渡す宿「FUJIYA HOSTEL」の事業承継。

フェリーターミナル跡地の地域活性化施設「コシキテラス」の利活用や旧里村役場の議会議場の再生「miraistudioしまとりえ」など、いくつかの公共施設や古民家など、一度役割を終えてしまった物件を中心に、もの作り、こと作りなど、様々な「場」の再生、再構築に取り組んできました。

FUJIYA HOSTEL

しかし、この2020年4月、新型コロナウィルスの影響を受けて自身が経営する店舗の売上高は、昨年比およそ50%に半減する事態になりました。島外のお客様を受け入れている宿泊施設に至っては、96%マイナスと言う状況で、一時は、半年先までの予約がほとんどキャンセルとなりました。

これまでに経験したことのないような事態でしたが、それでも私たちは決して悲観だけではなく、同時にある希望も感じていました。それは、失った50%だけを見るのではなく、失うことのなかった50%に目を向けると、これまで日常を作り出してきた地域密着型の事業がいくつもあり、集落の方々に支えられてきたことを改めて感じることができたからです。

これからの地域づくりをはじめ、会社というチームや限界集落の未来像について今、我々は何をするべきか。何ができるのかを改めて考えるきっかけになりました。

世界で一番、暮らしたい村(集落)をつくる

ある日、悩みの中でそんな言葉がふと浮かんできました。
ウィルスの出現によって、これまで当たり前だと思っていた世界は、みるみるうちに変化していきました。私たちは、誰かの日常に支えられていたこと。そして、経済性や効率性を優先し、自分以外の誰かに頼りすぎていたとも感じる日々。

これからは、食べものの地産地消だけでなく、食料・エネルギー・物流・交通・教育・医療・福祉など、あらゆる資源をローカライズして、この集落(コミュニティ)らしく自立していく。そんな世界観を持ちたいと、改めて思うようになりました。

グローバル化が進んでいたはずの「世界」が閉ざされ、世界というものは、どこか遠くにあるのではなく自分の暮らす、足元にあるものだということを教えてくれました。

だからこそ、私たちは甑島という自立した小さな世界をより大切にしながら、外の世界と繋がっていくこと。そして、自分たちが一番暮らしたいと思える村(集落)を、自らで働きかけ、創造していくこと。そうした想いと内発的な行動が大切なんだということを前提にして、このクラウドファンディングに取り組んでいます。

OSONO BAKERY [オソノベーカリー]

このプロジェクトを通じて、私たちは、新たに古民家を再生いたします。季節の素材や島の特産品を生かした村東集落唯一のベーカリー製造拠点としてOSONO BAKERY [オソノベーカリー] をオープンさせたいと考えています。


OSONO BAKERY [オソノベーカリー] の計画地は、
里集落のはずれの、大きなあこうの木の下にある平屋の一軒家で、木のトンネルを抜けると海まで歩いてすぐの海辺に建っています。また、私たちの運営しているFUJIYA HOSTELや山下商店甑島本店なども半径 400メートル圏内にあり、歩いて回ることのできる小さな集落に点在させています。

OSONO BAKERYへの想い

オソノとは何か・・・
スタジオジブリの映画作品「魔女の宅急便」をご存知ですか?その映画に出てくる一人の登場人物、おソノ。彼女は、グーチョキパンというパン屋のおかみさんです。

ある日、13歳のキキという少女が、魔女になろうと決意しましたが、魔女になるためには、守らなければならないしきたりがあり、キキは、知らない街へ行ってひとりで魔法修行をすることに。その時、パン屋のおソノさんと出会い、空いている部屋を借りて住むことになりました。それがきっかけとなり、キキは箒に乗って荷物を届ける「魔女の宅急便」を始めます。

彼女が、誰かの今を受け入れたり、背中を押してあげたりしたように、私たちも、小さな島のパンづくりと場づくりを通じて誰かの「居場所」になれることを、願っています。

数年前に他界した私の祖母。
名前を『オソ』と言います。

幼少期は、病弱だったオソばあちゃん。激しい運動ができずに悔しい想いをして過ごしました。その時、そんな自分に負けたくないと、彼女は人一倍勉強したそうです。そうした背景もあり、祖母は、自分以外のひとに対する弱さや苦しさに対して優しくもあり、人一倍厳しかった。そして、そっと背中を押してくれるような存在でした。

いつも忙しそうに、自宅の釜小屋でせっせと手仕事や手料理をしていました。季節の野菜を使った煮しめ料理や、ツワむき。茶揉み。乾燥野菜づくりに島の郷土菓子であるこっぱ餅作りなど。「モッタイナカ。」そう言っては、野菜の芯まで大切に料理したり、自分だけの調理方法を考えたり、無駄を無くし、決して贅沢を言わず、また辛抱強くここにあるものを受け入れて、楽しみながら生きていく。

もしも、祖母が生きていたら、今日の甑島を見て「仕事がない」とは言わなかったでしょう。そんなオソばあちゃんや、おソノさんの生き方に憧れて、私たちは OSONOBAKERY[オソノベーカリー]と名付けます。

資金の使い道・実施スケジュール

クラウドファンディングでいただいた支援金は、
CAMPFIREの手数料をのぞいて、全額古民家の改修資金として大切に活用させていただきます。尚、今回の募集では目標金額を50万円としていますが、オープンまでは、設備資金や運転資金に250万円以上の資金調達が必要です。そのため、クラウドファンディング以外での自己資金も同時に確保しながらこのプロジェクトを進めていきます。

企画監修:東シナ海の小さな島ブランド株式会社
設  計:一級建築士事務所 studioKANRO

※尚、8月下旬〜9月中旬の開業を目指して徐々に工事を進めていきます。

リターンのご紹介

◼︎ 3,500円《オンライントラベル参加権》
・オンライントラベル
 ※OSONO BAKERY完成後、現地よりライブ配信します。
・お礼のメッセージ

◼︎ 5,000円《遠くからでも応援セット》
・とうふ屋さんの大豆バター 3本セット
・お礼のメッセージ

◼︎ 8,000円《イチオシ》《遠くからでも応援セット》
・山下商店甑島本店セレクトギフト
 内容(島旅珈琲 水出しアイスコーヒー50g×2袋、ドリップパック2袋・
    とうふ屋さんの大豆バター1個・島アロエの木立甘酢300ml)
・お礼のメッセージ

◼︎ 10,000円 A《甑島に行って応援セット》
・FUJIYA HOSTEL 8,000円分 未来の宿泊券
・お礼のメッセージ

◼︎ 10,000円 B《イチオシ》《遠くからでも応援ギフト》
・甑島産おすすめ海の幸セレクト
 内容(海上天日干しひもの2種・冷凍きびなご唐揚げ1パック
    ・漁師の沖漬け1パック・きびなごの漬け2人前・地魚のさつまあげ5ケ入り)
・お礼のメッセージ

◼︎ 10,000円 C《お気持ち支援》
・お礼のメッセージ

◼︎ 30,000円《甑島に行って応援セット》
・FUJIYA HOSTEL 15,000円分 未来の宿泊券
・観光地を巡らない集落ガイド
・お礼のメッセージ


最後に

甑島には、海や山、川、様々な動植物などの自然環境だけでなく、私たちの夢があり希望があり、日常があります。まちの風景が、誰かの日常でできているのならば、私たち自身のここでの暮らしをより豊かにしていくことが、いつの日か、ここを訪れてくださるあなたにとっての豊かな非日常になると信じています。

Islands have a dream.

ここにしかない甑島を、世界一暮らしたくなる集落にしていくこと。そんな私たちの小さな挑戦をご支援をいただけますと幸いです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

<All-in方式>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も計画を実行します。

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