はじめに・ご挨拶

 はじめまして!山谷(さんや)の路上を舞台としたアートプロジェクト「バラエティロードSANYA」事務局の「一般社団法人 谷中のおかって」(http://okatte.info/)です。

私たちは、東京都台東区の谷中地域を拠点に各地でアートイベントの企画・運営・サポートを行っています。


突然ですが、みなさんは普段どのような人と出会いますか?

職場や学校が同じだったり、趣味が同じだったり、考え方が似ていたり、年齢が近かったり…。

何かの共通項がある人や、自分と似通った人と出会うことが多いのではないでしょうか。

 

一方で、年の離れた人、趣味や価値観が違う人など共通項がない人や、想像もつかないような人生を歩んできた人と出会うことは、よほどのきっかけがないと難しいですよね…。 

でも、違いを超えて出会い、共存することは、人間社会にとっては、実はとても大切なことなのではないでしょうか。


多様性を受け止める町、山谷

 

 

「山谷」という地域をご存知でしょうか?「山谷」とは、東京都台東区北部と荒川区南部にまたがる簡易宿所(ドヤ)の集まる地域です。大阪・釜ヶ崎、横浜・寿町と並ぶ「三大ドヤ街」と呼ばれることや、高度経済成長期に日雇い労働者が多く集まった地域として知られています。

現在、山谷地域のドヤには生活保護を受給しながら暮らしている方や、安宿を求める外国人観光客などが宿泊するなど、さまざまな人々が集まっています。

※参考:「山谷地域の変化」(NPO法人 山友会 公式ブログ)

 

この地域で活動する「NPO法人 山友会」と出会ったことをきっかけにして、「バラエティロードSANYA」は企画されました。

※NPO法人 山友会…山谷地域において、ホームレス状態にある方をはじめ生活困窮状態にある方に、無料診療、生活相談・支援、炊き出し・アウトリーチ実施、居場所・生きがいづくりなどの支援活動を行っている団体。

 

 

私たちは、山友会との出会いをとおして、初めて山谷を訪れました。

路上生活を送る人、ドヤ暮らしの人、この町で商売を営む人、神社の宮司さん、生まれも育ちもこの町で激動の歴史を目の当たりにしてきた人、さまざまな人たちと出会いました。

なかには複雑な事情があって路上生活をされている方や、ドヤ暮らしをされている方もいます。


一筋縄ではいかなかった人生を受け止め、常識に翻弄されずに一日一日を生きる方。

「あんたどこから来たの?珍しいね?」と、見ず知らずの私たちに気軽に声をかけ、私たちの無意識にある自他の境界線を易々と超えてくるけれど、不思議と嫌な感じのしない方。

 

こちらが困っていれば、「何かできることはないか」と寄り添って考えてくれる方。

 

そして、よそ者であるはずの自分たちを、いつの間にかこの町を彩る雑多さのひとつにしていくこの町の包容力。

 

こんなにも魅力のあるこの町で、豊かな人間性あふれるこの町の人たちと、この町の人一人ひとりに秘められた「文化的な時間」を一緒に表現していきたい。そして、その一つひとつを共存させる空間を形にしていきたいと思いました。

 

バラエティロードSANYA

 アーティストやパフォーマー、この企画の関わってくれる山谷の人たちの「思い付き/妄想」を軸に、その直感を大切に形にしていき「文化出見世」として路上に持ち寄る。

そして、「文化出見世」での表現活動をきっかけにして、予期せぬ出会いや交流を楽しみ、味わう。

そんな場が「バラエティロードSANYA」です。

 

この企画は2015年からスタートしました。

山谷で暮らしている方、山谷でさまざまな活動を行っている方、この企画に関わってくれた方たちと毎年少しずつ関係性を深めながら取り組んできました。

 

路上で暮らしている方も、そうでない方も。さまざまな生きづらさやハンディキャップを抱えた方も。そして、老若男女問わず。

さまざまな違いや垣根を超えて、誰もがその場で起きた出来事と漂う雰囲気、出会いと交流を楽しみ、一個人と生き生きと過ごせる時間。

 

こうした寛容な時間を生み出すこの企画を、“町の祭り”のように、この地域にとって愛し、愛される恒例行事のようなものをして育んでいきたいと願っています。

 

今年のテーマは「アートの寄せ場」!

 

アートの寄せ場とは、自分を表現し誰かとつながる場。魅力的なものたちが集まる場です。

 

アーティストだけでなく、偶然通りがかった人まで。路上に繰り広げられる「文化出見世」に引き寄せられた人達が、アートの力によって自分の個性が解放され、評価されて不思議と自信が湧いてきたリ、出会った人から思いがけないアドバイスがもらえたり、見ず知らずの人と意気投合してみたり。

そして、私たちが本当に大切にしなくてはならないことだけど、忘れ去られがちな人間の魅力や価値に気付かされたり…。

 

路上に人が集い、なんとなく対話が生まれ、訪れる人たちの間に新たな関係性と魅力がつくられていく。

そんな風景を思い描いています。

 

5年目を迎えた「バラエティロードSANYA」。みんなで創り上げ、格段にパワーアップした「アートの寄せ場」に進化します。乞うご期待!

 

2019年 第5回開催!今年の文化出見世は…

 

毎年恒例、バラエティロードSANYAの目玉!アーティストきむらとしろうじんじんによる「野点」

 

世界にひとつ、自分だけのお茶碗で、おしゃべりしながらお抹茶を楽しむ優雅なひと時。お茶碗をつくりながら、作業に没頭してみたり、周りにいる人となんとなく話してみたり。各々のペースでゆったり過ごせる、そんな場になっています。

きむらとしろうじんじん プロフィール

1967年新潟県生まれ。京都府在住。1994年京都市立芸術大学大学院工芸専攻陶磁器修了。1995年移動式の陶芸お抹茶屋台「野点(のだて)」をスタート。路上・空き地・公園など、これまで300カ所を越える様々な土地・風景の中で実施している。


・ダンサー大西健太郎による一風変わった⁉詩の朗読レッスン

 

突然路上で始まるレッスン。稽古場からは芳醇な果実と紅茶の香りが…?アーティストと共に自分らしい表現を見つけられる文化出見世です。(写真:2018年に実施したパフォーマンスの様子)


大西健太郎(おおにしけんたろう)プロフィール

ダンサー。1985年生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現科修了後、東京・谷中界隈を活動拠点とする。その場所・ひと・習慣の魅力と出会い「こころがおどる」ことを求めつづけるパフォーマー。2011年よりこども創作教室〈ぐるぐるミックス〉ファシリテーター、統括ディレクターを務める。板橋区立小茂根福祉園にて他者との共同創作によってつくり出す参加型パフォーマンス〈「お」ダンス プロジェクト〉を展開。2018年南米エクアドルにて「TURN-LA TOLA」の参加アーティストとして、地域住民と共同パフォーマンス〈El Azabiro de La Tola〉の公演をおこなう。


・「#路上が好き、#sanyatokyo」


 

路上で過ぎていく何気ない日常の中にある、たくさんの魅力。その一瞬を写真で切り取って、路上に飾る。#をつけて投稿してみる。当日現場に来れない人でも、インターネットを通してバラエティロードを彩る一員になれます。様々な人の視点を並べて、新たなまちの魅力を発見してみましょう。

 

・「路上ステージ」


 路上に置かれたステージ。そこでは漫才にカラオケ、ギター演奏など、ジャンルを問わずパフォーマンスを受け付けます。通りすがる人みんなが観客で、みんなが参加できる特別ステージ!普段の生活では発表する場がなかなかないものを思いきってやってみませんか?今まで知らなかった自分に出会えるかもしれません。

 

このような文化出見世を通して、その場に集った人々の間に出会いと対話が生まれることをねらいにしています。


※プログラムは天候等の条件により、変更になる場合がございます。

 

実施スケジュール

 

■バラエティロードSANYA2019 企画説明会

2019年8月11日(日・祝)13:30~16:00

 本番に向けて、関係者をはじめ、地域の方、企画に興味のある方を対象に企画説明会を行います。

 

会場:台東区清川区民館(台東区清川1-23-8)

定員:30名程度

参加費:無料

 

■スタッフ説明会

2019年10月25日(金)夕方ごろ(予定)

バラエティロードのスタッフ希望者を対象に、企画概要や当日の作業内容をお伝えします。

 

会場:台東区清川区民館(台東区清川1-23-8)(予定)

定員:30名程度

参加費:無料

 

■イベント本番!「バラエティロードSANYA 2019」

2019年10月27日(日)

時間: 11時頃~日暮れまで 

   ※小雨決行・荒天の場合は清川区民館にて一部プログラムのみ開催予定

会場:玉姫稲荷神社横道路(台東区清川2-13-20)

対象:誰でも参加可能

参加費:無料 ※「野点」のみ有料

 

「谷中のおかって」について

<谷中のおかって>は、2010年東京都やアーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)との共催により、様々なアート企画を通じて谷中エリアにおける文化拠点形成事業に取り組んできました。路上や街なかでの企画が多いのが特徴の一つです。

 

若手表現者と地域の魅力的な人・場所とコラボレーションし、オリジナルのパフォーマンスが街のあちこち繰り広げられるツアー形式のパフォーマンス公演「谷中妄想ツァー!!」(2009-2011年)や、汐入公園を舞台に、アーティストをはじめ、プロアマ問わず自分が心からやってみたかったことを表現として持ち寄り、それらが同時多発的に繰り広げられる場を参加者も一緒に楽しむ、ピクニック形式のパフォーマンス公演「威風DoDo」(2015年)などを展開してきました。また、幼児を対象とした創作教室「ぐるぐるミックス」(2011年-現在)や社会的、身体的障害を持った方々と協働したプロジェクトなどにも取り組んできました。

 

写真:「威風DoDo」(2015年)

写真: こども創作教室《ぐるぐるミックス》

年齢や所属、背景、身体的な差異などさまざまな違いを超えて、人々が集える場を、アート企画を通じて実現することを目指しています。

ささやかでも生き生きとした表現を各々が持ちより、自由な気配の中で来場者も次第に心が解放されていく、そのような場を「バラエティロードSANYA」でも作っていきたいと考えています。



資金の使い道

より充実した企画になるよう、文化出見世の制作費、広報費、会場費などとして使用させていただきます。

 

最後に…

様々な人と交流することで、自分とは違う価値観、文化、生き方に触れる。

その違いを受け入れ、受け入れてもらう。そして、ひとりの個人として存在する。

 

そんな場を、私たちと一緒につくりませんか?

 

ご支援よろしくお願いいたします!

 


※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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    今回は、谷中のおかってのメンバーでもあり、アーティストとして活動している大西さんにお話を聞きました!毎年バラエティロードを盛り上げてくださる大西さんは、どんな思いでバラエティロードに関わっているのでしょうか?◆自己紹介をお願いします普段はダンスやパフォーマンスを、アーティストの活動としてやって...

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