もしあなたが今30歳だとしたら、30年後あなたが還暦を迎えるころ、魚が手に入らない世の中になっているかもしれません。

「肉はもたれるし、もう魚がいい」と奥様に訴えたところで、味噌煮も、鍋ものも、塩焼きも、みそ汁の出汁でさえ、あなたの老後に、あなたが食べたい献立は存在しないのです。

私たちは「魚がいなくなる問題」を地球規模で抱えています。

昨年2018年、70年ぶりに漁業法改正案が可決、成立しました。海の資源を管理しよう、海の動植物が育つ環境を守ろうという新しい動きです。だけど、70年間見て見ぬ振りをしてきた問題を、私たちは簡単に解決できるでしょうか。

「魚をとる人がいなくなる問題」も時限爆弾のように待ったなしです。

1961年に70万人いたという漁師は、1992年32万人まで落ち込み、2017年には15.3万人にまで減りました。さらに近年、漁師の平均年齢は60歳を超えました。

魚がいなくなるのが先か、

魚をとる人がいなくなるのが先か。

いずれにせよ日本の水産業は、すでに大ピンチです。


キツイ。汚い。危険。

漁師にはこの「3K」のイメージがつきまといます。

フィッシャーマン・ジャパンは、水産業を「かっこよくて稼げて、革新的(新3K)な仕事にすること」「子どもたちが憧れるような仕事にすること」を目指して2014年に立ち上げた漁師団体です。

もともとは東北の漁業に危機感を抱いた漁師とIT企業社員が発起人ですが、徐々に魚屋や、デザイナー、元商社マンなどが加わり、今ではいろいろな職業経験をもつスタッフが、水産業の現場と向き合い、さまざまな角度から光を当てることで、その魅力を皆さんにお届けしています。

私たちが「フィッシャーマン」と呼ぶ人たちは漁師だけではありません。水産業に関わるいろいろなスキルを持つ職業人を「フィッシャーマン」と定義していて、この「フィッシャーマン」を1000人増やせば水産業は変わると信じて活動しています。

漁師が困った時、1000通りの解決策があったら、いつか本当に「革命」を起こせる、と本気で思っています。


今、力を入れている事業のひとつは「TRITON PROJECT(トリトンプロジェクト)」です。

簡単にいうと、実際に海の上で働く「漁師を増やす」プロジェクトです。

例えば、担い手不足に悩む親方漁師と、漁師になりたい若者とをつなぐマッチング業務をしています。

「漁家」という言葉があるように、ほとんどの漁師は家族単位で生計を成り立たせています。そのため、親戚でもない「他人様の息子」を雇うとなるとあれもこれもすべてが不安なものです。《初めての雇用》にチャレンジする漁師に寄り添い、歩調を合わせながら、弟子を迎え入れる準備をお手伝いしています。

新人漁師の新生活をサポートする「漁師専用シェアハウス」も管理しています。

私たちが活動しているエリアは、2011年の東日本大震災で多くの建物が流出しました。就業先が決まっても、住居の確保は難しいのが現状です。それを解決するのが、空き家をリノベーションした漁師専用のシェアハウスです。現在、宮城県内に6軒(うち1軒は今年3月入居開始予定。もうすぐです!)のシェアハウスを運営していて、10人の新人漁師たちが暮らしています。

「TRITON PROJECT」が始動してから4年、新しく漁師になった若者は30人近くになりました。「それだけ?」と感じるかもしれませんが、父から子への世代継承が当然の業界で、「世襲じゃない」漁師30人を県内に呼び込めたことは全国的にも例を見ない事例で、胸を張っていいことだと思っています。

これはもちろん漁師たちの努力があったからだけでなく、彼らをサポートする漁協の皆さんがいて、支援してくれた役所の皆さんがいて、漁師の魅力をとことん突き詰めたクリエイター陣がいて、そして新人漁師を温かく見守ってくれた地域のお父さんお母さんがいたからです。みんなの力があったからです。


一人前の漁師になるには3年、10年、人によっては一生という方もいます。ヨソから来た若者にとっては漁をするライセンス(漁業権)を取得するハードルが高いのも事実です。それでも漁師になりたいという若者がいてくれるなら、私たちは全力でお手伝いをします。

《漁師 なるには》で検索してみてください。

どこか遠い世界のことのように感じませんか。

私たちがつくりたいのは「漁師と近い」場所です。
漁師になりたいと思う若者が気軽に訪れ、求人情報を探したり、納得するまで相談できる場所です。

ここに来れば「海とつながれる」、そういう場所です。

そして漁師になる入口に立った若者が、めげずに漁師であり続けられるように、すぐ「近く」に仲間がいることに気付ける場所も必要だと思っています。


フィッシャーマン・ジャパンの本拠地は、宮城県石巻市の石巻駅から徒歩3分のところにあります。そこが千石町という地名であることから「TRITON SENGOKU」と呼んでいます。もともとは飲食店舗を備えた一軒家で、改修してフィッシャーマン・ジャパンのオフィスとして使用しています。

今回手を加えたいのは、1階のお蕎麦屋さんだったスペース。ここには、漁師になりたい人用に相談スペースを設ける他、オリジナルグッズを販売するショップ機能ももたせることで、今まで水産業に縁がなかった人でも気軽に立ち寄れる駅チカスポットとして開放する予定です。

玄関を開けると「漁師の女子マネ」がお迎えします。おすすめの求人、漁師と仲良くなる方法など何でも聞いて下さい。彼女たちも、ホテルや出版など水産業とは縁のない業界から飛び込んできたフィッシャーマン・ジャパンのスタッフです。

時化で漁がない日は漁師がおしゃべりをしに来ているかもしれません。日々の仕事のこと、お休みの日のこと、「彼女いますか」なんてことも・・・直接聞ける機会もあるでしょう。

もし、今は水産業に興味がないあなたも、

ほんのすこし覗いてみてください。

そしてほんのすこし漁師のことを聞いてみてください。

そのすこしの積み重ねが、水産業の未来をつくる力になっていくはずです。


半分は内装費用にあてたいと思っています。

もう半分は求人情報を集めたり、浜に足繁く通ったり、漁師を募るための実際の活動に使わせていただきます。

また、内装は「リノベーションに詳しい方」にご指導いただきながら、自分達で挑戦しようと思っています。水産業に関わる本やオリジナルの商品を陳列する棚などを設置する他、壁塗りやフローリング貼りなどもすべて自分達で行います。

もし、たくさんの皆様に支援していただき、目標の150万円以上のご支援をいただいたら、苦手な壁塗りやフローリング貼りを得意な方にお願いしたり、水産業に関わる本を揃えて勉強会を開いたり、長居できるようにソファーを調達したり…もっとやりたいことを実現できるかもしれません。

 

フィッシャーマン・ジャパンは、漁師や魚屋が集まって立ち上げた団体です。ひとりではどうにもならなくて諦めそうになる気持ちが、同じ想いをもつ仲間がいると知ることで、動きだす勇気や、辞めない決心に変わることを知っています。

私たちが目指していることは、ただ海の上の「人手」を増やすことではありません。海を取り巻く課題が日に日に緊急性を帯びていく中、水産業や地域の未来を一緒に考えてくれる仲間を増やしたいのです。 



水産業の未来をつくろう、一緒に。


このプロジェクトは、東日本大震災からの復興につながるクラウドファンディングをサポートする「復興庁クラウドファンディング支援事業」の対象プロジェクトです。

※復興庁クラウドファンディング支援事業についてご相談やお問い合わせ、取材のお申込みなどがありましたら、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

  • 2019/06/09 21:38

    明日6月10日の開港に先立ち、本日TRITON SENGOKUのお披露目会を開催いたしました。ここは、水産業の未来を作る人たちの秘密基地。漁師になりたい、漁業に興味がある、水産業に関わる、すべてのみなさんが気軽に訪れることのできる場所です。今日は色々な浜で働く漁師たちや、漁協職員の方や市役所水...

  • 2019/06/03 18:57

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2019/04/22 16:30

    おまたせしておりましたリターンの発送を開始しました。まずはグッズから。思いをこめて一つ一つ手作業で発送準備を進めています。たくさんのリターン品を準備し、これだけ多くの方にご支援いただいたのだと改めて実感し、感謝の気持ちでいっぱいです。到着までいましばらくお待ちくださいませ。発送が完了したものか...

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