演劇で、都会に生きる人たちの「つながれなさと孤独」を描くプロジェクト。YouTubeやTwitter、InstagramなどのSNSが発達した現代において「自分から遠いひととつながりやすくなった一方で、近いひととつながれない」ことの哀しさとジレンマを、どうやって乗り越えるかを考える演劇を作ります。

プロジェクト本文

▼はじめに

 はじめまして。この度、「劇団世人」という演劇集団を立ち上げました、主宰のスガマサユ機と申します。

 「世人」という言葉は「文人」や「軍人」などの職業についている人と「ふつうの人、一般人」を区別するときにつかう言葉です。私は、演劇を通して、わかりやすいヒーローやヴィラン(悪役)ではない「ふつうの人」が、生きていくなかで感じる葛藤や苦しみ、悩みに寄り添うような演劇を作っていきたいと思っています。「ふつうの人」たちが人生に疲れたとき、ふらっと劇場に訪れて、生きることについて考えることができるような演劇を作りたい。そして、そのような人たちが演劇を通して生きることについて語れるような場を作りたい。このような思いから、自らの劇団を「世人」と名付けました。

 同時に、この名前には「世界にはふつうの人なんていない」という逆説的な意味も込められています。私たちは身近な人に対する想像力をすぐに忘れてしまいがちです。例えば電車の中で、向かいの席に横並びに座ってスマホをいじっている七人の人たちが、ほんとは七人七様の人生を抱えていて、それぞれの人が人生のドラマを抱えて生きているというあたりまえのことを、私たちはすぐに忘れてしまいます。同じように、駅前でティッシュ配りをしている若者、コンビニでよくみる外国人の店員、不動産広告の看板をもって立っている男性などに対して、その前を何も思わずに素通りしてしまいがちです。

 このような世界の中で、私は観た人が「ほかの人の人生を考えてみる」きっかけとなるような演劇を創作して、「世界にはふつうの人なんていないんだ」という思いを共有していけるような、作り手と観客の垣根を超えた集団を作ってみようと思います。


▼どんな人に焦点を当てた演劇を作りたいか?

 では実際に「ほかの人の人生を考えてみる」演劇の第一弾として、どのような人に焦点を当てようか、と考えてみました。そのためには少々私のバックボーンをお話ししようと思います。

 私は東京で生まれ、東京で育ちました。そして今、五反田という街で暮らしています。東京の真ん中なので夜も明るく、幹線道路を通る車の音は、夜中も鳴りやみません。ここではまるで街ごと昼夜が逆転しているようで、道行く人の顔は朝は元気がなく、夜はお酒を飲んで笑顔になります。でも、みんなどことなく疲れたような、不眠症のような顔をしています。

 そんな中で、この五反田という街に生きる人を演劇で描いてみたいという思いを抱くようになりました。そこには、都会に生きる人の多くが感じる「孤独」の肝があると考えたからです。

 いまの時代、ネットをつなげば世界中どこの人ともつながることができます。ラインやスカイプをつかって、地球の裏側とリアルタイムで電話することも可能です。おそらく10年前よりも格段に人々のコミュニケーションは簡単になったなあ、と思います。

 でも、一歩街に出てみると、コミュニケーションなどはまるで活発ではなく、みんな一様にスマホの画面に目を落として歩いています。目の前の人と関わろうとしない。そんな街で聞こえてくるのはティッシュや広告を配っている人の一方的な「呼びかけ」であって、「会話」は聞こえてこないのです。

 私は、演劇と出会い、演劇を通して様々な人の価値観にふれながら、目のまえの人と話すことの大切さと難しさを学んできました。その中で「孤独」というものが抱える不安についても向き合ってきました。何よりも私がまず、そのような都会の「孤独」にさいなまれていたからです。

 今回のプロジェクトは、そのような都会に生きる人が抱える「孤独」を、演劇で描くことによって、そのような孤独を抱える人たちの人生について想像力をはたらかせてみようじゃないか、というものです。そこには都会に生きる人たち誰もが共感できる、言葉にできないなんらかの感情があるのではないだろうか? 「働き方改革」や「一億総活躍社会」の目標が政府によって語られる中、まず向かい合わなければならないのは、一人ひとりの寂しさと孤独なのではないか? このプロジェクトはそのような疑問から発進しています。この演劇のタイトルは『隣に、ただ隣に』です。

 演劇は、「誰かの人生をそのまま追体験すること」ができる、特殊な芸術です。ゆくゆくはこの演劇の上演を通して、「孤独」な人たちが集まって、作り手と観客の区別なしに一緒になにか話すことができるような場を作ろうと思います。


▼これまでの活動

【主宰の活動記録】

2015年:キャラメルボックス俳優教室の13期生として、演技について学ぶ。

2016年:初脚本・演出作品『しばらく、不遇。』を横浜・日吉で上演。

2017年:演劇学校に留学するために渡米。アル・パチーノやサラ・ジェシカ・パーカーを輩出したニューヨークのHBStudioで半年間演技・演出・劇作について学ぶ。

2018年:アメリカの劇作家アーサー・ミラー原作の『セールスマンの死』を横浜・日吉で上演し、脚本翻訳と演出を手掛ける。


2019年:劇団世人を旗揚げ。


▼資金の使い道

 2019年3月22日(金)~24日(日)に公演を予定しています。

 なにぶん立ち上げたばかりなので、積立金や所有する機材というものがありません。なので、劇場のレンタル代や衣装の購入代などは現在すべて自費で賄っております。

 頂いた資金は主にこれらの機材の購入や、舞台設営のための木材の購入費用などに充てたいと考えています。

 主なところでは

・劇場レンタル費用

・稽古場レンタル費用

・舞台機材購入費用

・照明機材レンタル費用

に資金を使う予定です。


▼リターンについて

 今回、クラウドファンディングを実施するにあたって、どのようなリターンをもらいたいかについてたくさんの人の意見を頂きました。その中でも多かったのが「純粋に公演を応援したい!」という声と「公演の中身をのぞいてみたい!」というものでした。

 この二つを実現させるために、今公演では二種類の異なるリターンのプランを用意しました。その名も【応援プラン】【共創プラン】です。

 【応援プラン】はその名の通り、この旗揚げ公演を純粋に応援していただける方々に向けたリターン内容です。公演パンフレットや舞台写真など、公演の記念・思い出になるようなリターンを、終演後にご提供いたします。最高額の≪10000円コース≫では公演DVDをお手元にお届けする予定です。

 いっぽう、【共創プラン】は、ご支援いただいた方々が私たちと共に演劇を創ることができるようなリターン内容にしました。上演台本のご提供をはじめ、音響Qシートや舞台の設計図などを公開・共有することで、舞台づくりの一員になっていただくプランです。

 今回は【応援プラン】と【共創プラン】を合わせて、9個のリターンをご用意いたしました。(【応援プラン】に500円加えた金額が【共創プラン】になります。)

 私は、演劇というものは創作の過程が作品の結果に如実に影響するものだと考えています。この【共創プラン】は、クラウドファンディングというシステムを演劇創作の一部にできないかと考えて作ったものです。より多くの人を「世人」の活動の輪に巻き込んでいきたいと思っております。


▼公演の概要

〔日程〕

2019年3月22日(金)~24日(日)

〔タイムスケジュール〕

22日(金) 19:00~

23日(土) 13:00~/18:00~

24日(日) 13:00~

※受付開始・開場は開開演30分前となっております。

※全席自由席となっております。

〔場所〕

ART THEATER 上野小劇場


〔料金〕

予約2000円 当日2500円


▼最後に

 旗揚げ公演ということもあり、すべてが未知の状態からのスタートです。しかも、演劇というのは目に見えないものを作ることなので、その創作には途方もない時間と努力が必要になります。そんな中で、なぜ演劇を作るのでしょうか? 

 それは演劇を作ることが楽しいからという、単純な理由にほかなりません。私にとっては演劇を作ることの喜びが、演劇を作ることによる苦しみを、いつも少しだけ上回ってゆくのです。映画みたいに何回も繰り返し観れない、小説みたいに自分の時間を使って楽しむことのできない、このとても「めんどくさい」演劇という芸術を好き好んでやろうとするのは、その魅力を誰かと共有したいと切に願っているからかもしれません。

 この旗揚げ公演は、私が公に出す初めての演劇公演になります。このプロジェクトを完遂するために、皆様からのご支援をお待ちしております!



(本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。)

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