2020/02/20 11:42

支援して下さった皆様、そしてこの写真展を応援して下さっている全ての方々。本当にありがとうございます。今回の「141歳の写真展」を開催するにあたり、自分なりにこの写真展、そして僕の夢を叶える為の大義について考えてみました。是非最後まで読んでみてください。


ー少子高齢化が日本において今一番大きな問題

少子高齢化を考える時、少子と高齢化は別々の課題として考える必要がある。なぜなら、少子の部分は今の日本のやり方では改善が望めないと思うからです。大企業にお金を落とし、庶民の生活を省みない政治が行われています。普通の夫婦が二人で暮らしていくのがやっとで子供を産むという選択肢がそもそもないのが今の日本の現状です。

少子という部分はある意味個人の話でもあり、現状教育という面で対策していくしかないのでこの問題は一旦置いておくことにします。

その逆の「高齢化」に目を向けてみてください。高齢化に関してはまだまだやれることは山程あります。どうすれば老後も楽しくお金を稼ぎ、自分の趣味や孫にお小遣いをあげる余裕が出来るか?どうすれば高齢者が老後を「楽しく、元気に、自立して暮らしていけるか?」を今考える必要があるのではないでしょうか?

日本の高齢化率は27.7%で世界1位。だからこそシンプルに、日本は高齢者が住みやすい国のトップになればいい。

高齢者の人口が多い日本においては、経済的な意味で言えばこれは理想論かもしれませんが、「老人力」やキングコングの西野君が言う「愛される欠陥」という考え方がこれからの時代、必要になってくるのではないかと思います。その一番のモデルになれる可能性を秘めた街がこの別府という街だと僕は思っています。

これだけ最高の環境が整っている街もそうそうありません。別府には世界一の温泉文化があります。お年寄り同士はもちろん、世代を超えて会話する環境が整っていますし、観光都市ならではの「受け入れる」というDNAが受け継がれている街でもあります。

例えば、公衆浴場では時事問題や近所の変化などの情報が日々交換されています。温泉でしか出会わないけれど、毎日顔を合わせる「温泉仲間」がいて、その仲間が生存確認をしたり、自分の畑で取れた野菜をみんなに配ったり、困っている人を助けたり。そんな風景が当たり前の生活の中にあります。観光という働き口があり、介護や福祉に明るく、温泉や公民館という高齢者のコミュニティーがあり、100か国以上の人が住み、その多種多様な人々を受け入れている地元の方がいて、何より人懐っこくオープンな方が多い。

今のお年寄りは「これ以上長生きしなくてもいい」というようなことを言う方も多いです。「あんた達若いもんにはまだまだ負けんよ」とおじいちゃん、おばあちゃんが言えるような社会を僕らの世代が作っていかなければならないし、元気な高齢者の方がお手本になるべきだと僕は思います。

そういう意味で僕のおばあちゃんはそんな高齢者の方達に勇気や元気を与えられる存在だと思っています。61歳で写真を撮るという挑戦を始めて、100歳で百貨店で写真展をやるという大きな夢を今、実現させようとしています。腰と耳は悪いですが、今でも元気に写真を撮っているその姿は、幾つになっても何かを始めることに遅いということはないと沢山の方に伝えられるのではないかと思います。

「今度は○○をやってみたい。」「○○に興味がある」「どこどこに写真を撮りに行きたい」など、いつも前向きな発言をするおばあちゃんは100歳になった今でも常に未来を見ています。


お年寄りに優しい世界は、きっと子供達にも優しい世界

これからはお年寄りが輝き、お年寄りが人生を楽しめる、お年寄りが活躍でき、お年寄りの愛される力を活かす、そういう世界や国や社会や地域や町を作っていかなければいけないと思います。そうすることで自ずと優しい世界になるし、お年寄りに優しい世界はきっと子供達にも優しい世界であると思います。その両方を繋ぐのが僕らの世代で、そのポテンシャルを秘めた街がここ別府なのです。

今、日本が忘れかけている、愛や優しさや思いやりを持った方達が別府には沢山住んでいます。しかし、毎日温泉に入れる環境やその文化の中で培われてきた懐の深さは別府に住んでいる方には当たり前で本人達はその特別さに気付いていません。別府の街に生まれ育った方にこそ、その素晴らしさに改めて気付いて欲しい。そのきっかけ作りを僕は「写真」という表現を使って今、やりたいと思っています。


ー1人1人が明るい方向を向くように

写真家として新しい切り口で別府を撮影して、その素晴らしさを内にも外にも伝えていきたい。みんながさらにこの街を好きになり、誇りに思うことが出来たなら、一人一人が明るい方向を向くようになるし、お年寄りが元気になれば、子供達も、その両方を抱える中年層も優しくなれる。今までの慣習や生きてきた人たちの知恵を活かしながら、今この時代を生きている僕らなりのやり方で表現する必要があると思っています。僕にとってはそれが「写真」ですが、それぞれがそれぞれのやり方で発信していくことが今求められているのではないでしょうか?
古い伝統や文化を大切にしながら、新しい流行や感覚を取り入れて、今までにない新しい表現で別府を撮る。不易流行の理念で撮ったその写真に触れ、日常に埋もれた感覚を思い出して欲しい。家族のことでもいい、今自分が抱えている問題でもいい、別府という街についてでもいい。全てをわかりあう必要はありません。何か1つでいい。自分の体験として、感じてもらいたい。

そしてそれは「こうだ」と押し付けるものではなく、
想像の余地を残したものであるべきだと思います。


ー温泉のように溢れる「愛」

別府に住んでいた時には何も分かりませんでしたが、20年離れていたからこそ分かることが沢山あります。東京では感じられない愛が別府には確かにあるのです。

僕の夢は「別府から世界を変える」ということ。

おじいちゃん、おばあちゃんに輝いて欲しい。そうすれば、社会はもっともっと優しくなれる。僕はそれを自分のおばあちゃんに教えてもらいました。人生の先輩達が輝ける社会は若い世代も輝ける社会になり得るはずです。別府で撮影する中で沢山の人と触れ、会話する度に、こんなにも面白い人たちがいる別府を写真という形に残して、それを世界に広めたいと思いました。僕も体験を通して、この街の魅力に気付いていったのです。

別府に住んでいる人にもっとこの街の魅力に気付いてもらい、時代と世代を越えて愛される別府に今こそなる必要があります。人と人との縁が薄くなっている時代において、人と人とのコミュニケーションが薄くなっているこの時期において、縁が驚くほど繋がるこの別府という街には、僕らが忘れかけている大切なものがあります。それはまさに温泉のように溢れる「愛」であり、「受け入れる自由」であると思います。今、日本に一番足りないもの。それを埋めることが出来るほどの愛を別府人は持っています。温泉ではなく、温泉文化が育んだ人や愛に目を向けるべき時期が来ているのだと思います。

その先陣を切るのがこの写真展です。後に続く若い世代の後押しが出来るように、そして高齢者の方が幾つになっても輝ける世界を作るために、僕はこの写真展を今全力で作っています。東京に20年住み、外から見たからこそ気付けた故郷の素晴らしさを「写真」という表現方法を使って、僕は伝えていきたいと思っています。

「別府から世界を変える」
その夢を実現させる為に
「沢山の人に別府の魅力に氣付いてもらいたい」
今、僕はそう思っています。

地元の人達と会話する中で、祖母と孫の自分ごとはこの街に住む全ての家族の自分ごとだと思うようになりました。なぜなら、僕ら2人はこの街に育てられ、この街から教わり、この街で愛を育んできたからです。この街で暮らす全ての家族が、より良い別府を考える一つのきっかけに、この写真展がなることを心から願っています。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今まで僕に出会ってくれた全ての人に感謝の気持ちを込めて、そして忙しい時間を使ってこの写真展の為に全力で動いてくれている実行委員のみんなに、心からありがとう。クラウドファンディングも写真展も必ず成功させます。どうぞ最後まで応援よろしくお願い致します!

東京神父